SSブログ

シャンゼリゼ劇場でリサイタル(2015.4.17) [コンサート]

◎パリ在住の助六さんがコメントにレポートを書いて下さいました。(2015.4.18)
 一週間前に同じプログラムを東京で歌いました。最後は観客の皆さんヒートアップして握手会状態、タキシードの膝に穴があくほどのサービスぶりで、グリゴーロが夢見ている「ポッブコンサート的反応」が実現しましたが、パリはどうでしょうね.....

2015年4月17日(金) 午後8時:シャンゼリゼ劇場 リサイタル
Récital de chant / Les Grandes Voix
Vittorio Grigolo ténor
Vincenzo Scalera piano

Bellini « Dolente immagine di Fille mia », « Vanne, o rosa fortunata », « Malinconia, ninfa gentile », « Per pietà, bell’idol mio »
Rossini « La danza »
Donizetti « Inosservato, penetrava… Angelo casto e bel » extrait d’Il Duca d’Alba
Verdi « Ah sì, ben dite… Tutto parea sorridere », extrait d’ Il Corsaro
Tosti « Chanson de l’adieu », « Pour un baiser », « Ideale », « ‘A vucchella », « L’ultima canzone »
Gastaldon « Musica proibita »Leoncavallo « Mattinata »
De Curtis « Ti voglio tanto bene »
D’Annibale « O paese d’ ‘o sole »
Bis :
"Una furtiva lagrima" Donizetti, l'Elisir D'amore
"E lucevan le stelle " Puccini, Tosca
O sole moi
Brindisi, Verdi, La Traviata


*同様のリサイタル:2013年1月7日ミラノ・スカラ座 → 2014年3月9日NYメト → 2015年4月5日/10日東京オペラシティー → 4月17日パリ・シャンゼリゼ劇場

関連記事:
:[東京リサイタル・公開レッスン]

ヴィットリオ・グリゴーロのインタビュー(仏語):シャンゼリゼ劇場コンサートに際して
シャンゼリゼ劇場でヴィットリオ・グリゴーロのコンサート
Gastspiel: La bohème ミュンヘンからパリのシャンゼリゼ....一日だけの出張公演
シャンゼリゼ劇場《ボエーム》の写真とレポート

メトでソロ・リサイタル(2014.3.9)
Vittorio Grigolo ミラノ・スカラ座リサイタル(2013.1.7) プログラム有り
ヴィンチェンツォ・スカレーラ Vincenzo Scalera (2014.9.22)
《ウェスト・サイド・ストーリー》トニー:ミラノ・スカラ座2003
オペラ歌手のトニー...ホセ・カレーラスとヴィットリオ・グリゴーロ... オペラ歌手とミュージカル
ミラノ・スカラ座版《West side story》の初日直前記事(2003.7.1)と"Archivio La Scala"からの写真

nice!(0)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 5

助六

週末金曜のコンサートなのに客の入り6割程度にはちょっと驚き。
前回3年前の同じシャンゼリゼでのリサイタルは月曜にもかかわらず8割方の入りだっただけに尚更。
やはりオケ伴でオペラ・アリアが多いプログラムと、ピアノ伴で歌曲主体のプロでは集客力に差があるということか。
ただシャンゼリゼの歌のリサイタル・シリーズの中では今回の料金設定はかなり高めなので、そのせいが大きいとは思います。

前回リサイタル以降オランジュや革命記念日コンサート出演のテレビ中継もあって仏での知名度は急上昇していると思われ(実際12月にバスティーユのボエームに急遽出演した時は当日券は結構厳しかったし)混雑も覚悟していたので意外でしたが、空いててのんびり聞けるのは大歓迎なので、私は思いがけず得した気分でした。
ただ2日前になってシャンゼリゼから私のとこまで15%割引の案内が来ていたので、売れてないことは分かりましたが、ここまでとは。お蔭でのんびり開演直前に安いチケットを買って入場しました。
平土間席が殆ど埋まっていたのは15%割引の効果でしょう。
彼レヴェルの歌手を当日フラリと行ってゆったり聞けるのは贅沢なので、これ以上人気が出て欲しくないのがホンネですね。

それで最初の登場からそろりそろりと大人しく現われ、前回の最初からのはしゃぎ振りに比べると抑えたのかなとも思いました。前回のリサイタルの時「はしゃぎ過ぎ」に当惑を示した仏人常連が多かったので、誰かから注意されたのかも知れません。でもアンコールに入ってからはもちろんグリゴーロ節全開。

アンコールも東京と同じで「Una furtiva lagrima」、「lucevan le stelle」、「O sole mio」、Brindisiの4曲。腕の上げ下げで客の拍手を指揮したのも同じ、Brindisiは客に合唱させちゃいました。初めから舞台の中央前面に大きな花束が2つ置かれていてどうするのかなと思ってたんですが、最後に客席に投げて大ウケ。これも東京でもやったのかも知れませんね。
最後はスタンディング・オヴェーションで確かに「ポップコンサート的反応」でしたが、パリのクラッシクの聴衆は握手で舞台に駆け寄る習慣はないですね。個人的にはウッディ・アレンのジャズ・コンサートで見たことがあるだけ。

アンコールに入る前に10分くらいのスピーチがあって、
-パリに来るのは怖い。パリのレヴェルにそぐわないのが怖いから。(相変わらずのリップサービス)
-オケ伴と違ってピアノ伴リサイタルは、オケの後ろに隠れることができないので緊張する。
-リサイタルでは聴衆と直接コミュニケートしたい。現代はコミュニケ―ションは新技術によって容易で多量になっているが、ヴァーチャルばかりで直接のコミュニケーションがない。可愛い女の子と食事に行けば彼女は携帯ばかり見ている。コンサートでは皆さんに何かを直接伝えたい。(大ウケ)
といった内容でした。
アンコール各曲の前にも曲を通じて何を伝えたいかということについて短いスピーチがありました。

この種のショーマンシップはビリャソンも得意だし、「安易だ」と批判する仏人も珍しくありません。
僕はジェスチャーは大げさでも続いて出てくる歌が端正なので抵抗なかったんですが、今回は前回に比べてプログラム本体、アンコール通じてやや強調感が強かったのがちょっと気になりました。これは12月のバスティーユでのボエームでも感じたことで、彼の発声の問題に加え、効果を狙う誘惑が大きくなっているのかも知れません。

特にトスティ歌曲は大変オペラティックな歌唱で、それは間違いではないけれども、「トスティってこれ程芸術的で繊細だったけ?」と思わされてしまうフローレスの歌唱スタイルとは大きく異なります。
一方ドニゼッティのアルバ公は3年前同様スタイリッシュな見事な歌唱で、彼はバスティーユの1年半前のエドガルドも素晴らしかったし、「ボエームもいいけどももっとベルカントを聞きたいな」と思ったのも3年前のリサイタルの時と同じでした。

全体としては、聞きながら内心「ああイタリア」と呟いてしまう屈託なく明るいイタリア声に加え端正で格調あるスタイルを兼ね備えている歌手は彼以外には現在の伊声楽界には一人も思いつきません。
エンタメ性と高い芸術性を兼備しているとこが彼の身上ですから、両者のバランスを今後も維持して続けて欲しいものと思いました。
by 助六 (2015-04-18 11:02) 

keyaki

助六さん
レポートありがとうございます。
集客はなかなか難しいですね。どこもクラシックはやっぱり割高で若い人には負担が大きいんでしょうね。
東京のリサイタルも料金設定は呼び屋さんがやるんでしょうけど、18500円から15000円という値幅の少ない設定で、安い席がなかったので、不満だった人が多かったようなので、2階3階席はかなり空席があったようです。 
「たくさんあるコンサートの中から選んでくれてありがとう」と挨拶していました。
ちなみに5月末に来る予定の「王」は、26000円から14000円ですけど、モンクを言っている人は見かけない、さすが「王」です。

東京でもパリでも自分のスタイルを貫いてるんですね。公開レッスンもショーになっていました。でも教えていることは自分が習ったことを教えてるんですよね。見ていて身体が楽器ということを本当に実感しましたし、疲れないように長持ちさせる発声を必死で教えていました。グリゴーロ先生の真摯で熱心な態度は、特に若い人たちの心をつかんだことは間違いないようです。

私もやっと実際に聞くことができて、本物であることを実感しました。

>エンタメ性と高い芸術性を兼備しているとこが彼の身上ですから、両者のバランスを今後も維持して続けて欲しいものと思いました。

その通りですね。

花束は花束贈呈でもらったものを2階席の若い女の子に投げました。投げる力もコントロールも抜群、スカレーラの花束も奪って、一階席に投げました。

by keyaki (2015-04-18 13:55) 

Rosina

お久しぶりです。このコンサート、行くつもりでチケット買ってあったのですが、家庭の事情で行けませんでした><;人の入りはあまり良くなかったのですね…。コンサート以外では今年のグリゴーロ君はスカラ座で立て続けにロドルフォ、ネモリーノ、エドガルド、ウォルテルの年みたいですね。

私は今年後半はフローレス追っかけでオテロ(ロッシーニ)、オルフィーとエウデリーチェなので、グリゴーロ君を生で聴けるのはパリのコンサートだったので余計に残念です…;;

by Rosina (2015-05-12 16:06) 

keyaki

Rosinaさん
レポートを楽しみにしていたので、残念です。
グリゴーロは、ROHで来シーズン「ウェルテル」デビューですね。
本当にレパートリーが増えていませんが、やっとですね。
フローレスも「ウェルテル」デビューということですが、追っかけ計画はありますか?
by keyaki (2015-05-12 20:54) 

Rosina

まだ未定ですが、「ウェルテル」はフローレスの方はたぶんしないけど、グリゴーロ君の方はあるかもしれません。

フローレスの方はむしろ、グルックのようなバロックオペラの方が興味があるので、9月のオルフィーとエウデリーチェは日帰りで観に行くつもりでいます。
by Rosina (2015-05-13 18:56) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0