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(1)Rigoletto a Mantova メイキングとインタビュー ☆ (2)公爵が要求したのは「部屋か妹か」 [リゴレットa Mantova]

(1)Rigoletto a Mantovaメイキングとインタビュー :
 ライヴ・オペラフィルム"Rigoletto a Mantova その時、その場所、再現リゴレット"祭りも終了.....イギリスのBBC2はKatie Derham、フランスのFrance3はAlain Duault、オーストリアのOrf2はMartin Traxlによる独自のメイキングとかインタビューを作成して、同時に放送しました。ありがたいことにYouTubeにアップされています。Orf2は、撮影のリハーサルにも密着取材していて一番面白いかな......



 れいのアンダー君、セバスチャン・ゲーズ Sébastien Guèzeが歌って、グリゴーロは演技だけの練習風景とか、グリゴーロの代わりにセバスチャン・ゲーズが3幕の重唱のピアノリハーサルに参加して歌っている場面とかあります。ゲーズは、代役ということではなくて、グリゴーロが当日万全の体調ではなくても、とにかく出演できるように全面的にフォローするための起用でしょうね。

(2)公爵が注文したのは「部屋か妹か」:
 今回、はじめて気づきました。今までは公爵にそれほど注目していなかったので......3幕冒頭で、公爵がミンチョ河畔の怪しげなスパラフチレの家にやってきて、

公爵「Due cose, e tosto...二つのものを、すぐに.....」
スパラフチレ 「Quali? 何をですか」
公爵「Una stanza e del vino...部屋とワインだ」

という会話があって、有名な「La donna è mobile....」を歌います。

 「部屋」というのは、この後の展開からいうと実際にはおかしい.....これは、ヴェネツィアの検閲官が勝手に台本を書き替えたんだそうです。そこで、最近では、「部屋」ではなく、「Tua sorella お前の妹」というのが一般的になっていますので、今回もグリゴーロは"Tua sorella e del vino..."と言っています。ところが、字幕は、英語もフランス語も昔のまま「部屋」になっていたので気づいた...というわけなんです。けっこういい加減.....

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コメント 6

euridice

>公爵が注文したのは「部屋か妹か」:
おもしろいですね。ポネルの映画版で、なんだか変と思ったけど、オペラだから・・と思いました。今回はっきり「お前の妹」って聞こえて、筋が通った台詞だわ〜と思いました。ちなみにうちにあるのをチェックしたところ、1990年以降はおおむね「妹」です。字幕も訂正済みが多いですね。最近でも「部屋」で歌ってるのはチューリヒのです。ベチャラとカウフマンがありますけど、もちろんどっちも同じです。
by euridice (2010-09-16 11:04) 

keyaki

euridiceさん
私は、リゴレットはいろいろ見たり聞いたりしていますが、全然なにも気づいていませんでした。
実は、グリゴーロが"Tua sorella"と言ったのが、すごくはっきり聞こえて、グリゴーロ君勝手に台詞変えちゃったの.....なんて思って調べてみたんです。グリゴーロのイタリア語って、私の耳にはとてもはっきりよく聞こえるんです。
それにしても「検閲」ってこんな些細なことにまで勝手に変えちゃうんですね。

1990年頃まで「部屋とワイン」という台詞だったので、解説にスパラフチレの居酒屋兼旅籠.....なんて書いてあるのもありますよ。(笑
by keyaki (2010-09-16 14:18) 

hasida

"Si, vendetta."聞き比べコーナーを作っているhasidaです。
とりあえずDVDとTV録画以外の、ハードディスクに入っている分だけ調べてみたところ、部屋9 vs 妹11、で拮抗してますが、
euridice さんのおっしゃる通り、最近のは妹が多いです。
確認した中で一番古い「妹」が1984年Pistoia 歌劇場、だけでは何だか分かりませんが、デヴィーアとカプッチッリとペルトゥージ(スパラフチレ)が揃った公演です。肝心の公爵は Maurizio Frusoni という方です。
で、最後の「部屋」が1992年のMETでした。ただしMETのはこれより古いのしか手元にないので、METが「妹」に転向したのか、それが何時なのか、は分かりません。
今回はこの箇所前後だけをざっと聞いただけで、映像付きはその一部ですが、その範囲ではジルダはロシュトが断然素敵でした。
by hasida (2010-09-16 15:19) 

keyaki

hasidaさん
調査ありがとうございます。
1984年にすでにsorellaを採用した公演があったんですね。指揮者は、バルトレッティですね。
スカラ座では、1993-1994シーズンにムーティが23年ぶりに《リゴレット》を上演していて、「部屋」から「妹」に正しく直したというのが、新聞記事にもなってました。
他の劇場でも、本家のイタリアが「妹」にしたのにあえて「部屋」にする理由はないでしょうから、今は「妹」が定番ということなんでしょうね。
チューリヒが「部屋」なのが解せませんが....指揮がサンティおじいちゃんなので、今まで通りなのかな......それに公爵がベチャラとかカウフマンでイタリア人じゃないし....今シーズンはグリゴーロもチューリヒでリゴレットを歌うことになってますが、「妹」って言うような気がします。
by keyaki (2010-09-16 23:11) 

助六

83年にリコリディとシカゴ大の共同でMartin Chusidの批判的校訂版が出版されて検閲前のテキストに戻されたんですよね。

この種の原典主義に敏感だったムーティが初物買いし、83年3月にヴィーンの新演出(今でも使ってるサンドロ・セクイ演出)上演で取上げたのが最初でした。

配役は、ブルゾン、グルベローヴァ、ボニゾッリ。

譜面に記されてない高音は、ムーティ得意のアコギ厳格主義で全く歌わせなかったから、ヴィーンの聴衆からは執拗なブーを喰らい、欧州中で話題になった公演でした。
小生は最初の欧州滞在中で、行きたかったけど、カネが無くて行けなかった。

ムーティはその後20年近く経って、2000年12月スカラ・オープニングの「トロヴァトーレ」でも「高音抜き」でブー喰らうことになるから、オペラ聴衆の頑迷さも相当なもの。

歌手は自分が持ってる楽譜で勉強してて古いままで覚えてる人もいるだろうし、劇場保有の楽譜が古いということもあるでしょう。
あとは現場での歌手・指揮者・演出家・ドラマトゥルク・コレペティ・助手なんかの見識と判断次第ということになる。誰も注意せず、何となくそのままなんてことも現場ではいくらでも起こりうる。

「stanza」はここで事実上「寝室 camera」と同義だから、変えなくても露骨さでは似たようなもんという意見もあるけどね。
by 助六 (2010-09-18 10:04) 

keyaki

助六さん
いつもありがとうございます。
校訂版が1983年に出ているということですが、それにしては、字幕がいい加減すぎですね。

ムーティはスカラ座がはじめてではなかったんですね。
スカラ座23年ぶりの1993-1994シーズンのリゴレットも、高音抜きだったはずですけど、観客はどうしたんでしょう....
トロヴァトーレは目立ちますが、リゴレットの公爵は、カデンツァが有る無しくらいなんでしょうか.....高音抜きというのはバリトンとソプラノでテノールほど皆が注目してないってことかな.....

1993-1994シーズンのをちょっと聞いてみましたが、最後のかげで歌うLa donna è mobileの最後を延々異常に延ばしすぎですが、アラーニャが最初にカデンツァも高音も歌わせてもらえなかったので、ここで仕返したのかしら。(笑

>「stanza」はここで事実上「寝室 camera」と同義だから、変えなくても露骨さでは似たようなもんという意見もあるけどね。

検閲なんてあまり意味がないということですけど、いっそのこと「stanza」とか微妙な変更ではなくて、食べ物にでもすればよかったですね。「パンとワイン」とか「パルミジャーノとワイン」とか.....

まあ、今更「部屋」である必要はないわけですし、「妹」の方が、いかにも公爵らしいふざけた感じだし、今も昔もプレイボーイがいいそう....
世間ずれしていないジルダには、「部屋」は「部屋」でしょうから、やっぱり「妹」じゃないとジルダには公爵がどんな男なのか分からないと思います....


by keyaki (2010-09-18 13:40) 

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