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《ジャンニ・スキッキ》リヌッチョの選手交代劇の真相は? [ジャンニ・スキッキ]


↑グリゴーロとセッコの背比べ:グリゴーロは肩まで160
休めの姿勢ですから、実際にはもっと高いと思う
セッコは身長170程度かな..クリックして拡大してみてね。
 メインブログの記事『24才のアメリカ人テノール、スカラ座での「ひどい体験」を語る』で、今年3月のミラノ・スカラ座《ジャンニ・スキッキ》のリヌッチョ役は、シーズン発表時のキャストはステファノ・セッコだったことがわかりました。ただ、リヌッチョ役第2キャストのマイケル・ファビアーノ君の告白は、そのまま鵜呑みにできない部分があると思います。なにしろ若いアメリカ人ですから、コミュニュケーションがうまくとれていなかった可能性大です。ステファノ・セッコからヴィットリオ・グリゴーロになったのは事実ですが、その理由が「クビ」というのはかなり怪しい、リハーサル前というのも、クビというよりは、本契約をしなかっただけのことだと思います。
 ステファノ・セッコ Stefano Seccoについて、ちょっと調べてみましたが、1973年生まれミラノ出身のリリック・テノールで、1995年デビュー以来、主役級歌手として活躍しています。2001年にはスカラ座、ムーティー指揮でアルフレードを歌っていますし、仕事も順調、あちこち飛び回って忙しそうです。最近もパリ・バスティーユでドン・カルロのタイトルロールで、好評だったようです。客観的にみて、実力のあるテノールといえます。実際に彼の舞台を見た方からも、なかなか良かった....というコメントがあります。
 では、なぜ、リヌッチョを降板したのか、本契約に至らなかったのかですが、私が見る限り、グリゴーロとの違いは容姿の「姿」の方です。お顔のほうは、ご覧のようになかなか整った顔立ちです。頭が薄いのはどうにでもなりますから。舞台写真を見ると、なかなか素敵です。所謂デブブスではありません。ステファノ・セッコのホームページにたくさん写真がありますが、特にバックステージの同僚たちとの写真を見ると明らかに小さい、ネット検索するとカーテンコールの写真も見られますが、女声歌手より小さいです。ラウレッタ役のニーノ・マチャイゼは、恐らく背が高いのではないかと思います。そうなるとバランスが悪くて絵にならない。指揮者のシャイーより演出のルカ・ロンコーニがこだわったんじゃないでしょうか。しかもTV中継もあり、イタリア各地の映画館での同時中継もすることになっていました。ルッジェーロ・ライモンディもリーバーマン時代のパリ・オペラ座では、テレビ中継の時は、必ずかりだされていましたから、水面下で、グリゴーロと交渉していた可能性は、大いにあり得ることだと思います。
 ということで、容姿とスター性で、スカラ座としては、ヴィットリオ・グリゴーロにやらせたかったので、ステファノ・セッコの予定だったが、本契約をしなかったということなんじゃないかと思います。
 劇場側も、新しいオペラファンを獲得するために、いろいろ努力をしているのだと思います。ですから、少なくともTV放送とか映画館で上映する場合は、オペラ歌手でもこんなにカッコイイ歌手がいるから、劇場にも足を運んでネという宣伝も必要でしょう。

 たまたま、グリゴーロの予定も、2月は13日にアイスショーで歌うだけで、空いていましたし、ダブルキャストですから、3月末のコンサートの時は、第2キャストに歌ってもらうということで契約したんだと思います。
 グリゴーロは、2月15日に自身のホームページで、《ジャンニ・スキッキ》出演日程を発表していますので、水面下での交渉はもっと前からしていたんでしょうが、契約に至ったのは、リハーサルのはじまる前ということなんでしょう。
 もう一つ、TV中継と映画館同時上映のためにヴィットリオ・グリゴーロになったのではと思われるのは、彼自身、風邪を引いていたが、なんとか頑張って歌ったということをコメントしています。普通だと、第2キャストに歌ってもらうんじゃないかしら。

ヴィットリオ・グリゴーロが自身のホームページに掲載したメッセージです。
『皆さん、応援ありがとう! 一週間前からずっと風邪をひいてます。この状態で、この役をやるのはそう簡単じゃなかった。だけど、みなさんと、テクニックと神のお陰で、やれました。時に、このエネルギーがどこからわいてくるのかほんとに説明できません。僕の声帯を通り、身体を通って、このもの凄い振動が伝わって、自分自身の最高に奥深いところ、内奥からわいてくるのです。すばらしい魔法のような時間と、気持ちを共有できたことを感謝します。(2008.3.10)』
《ジャンニ・スキッキ》公演日程:3月6, 8(ラジオ放送), 11, 13(TV放送),16, 20,25,28,4月2日
(3月25,28,4月2日は、第2キャストのアメリカ人テノール、マイケル・ファビアーノ)

※右上の写真:ローマのピアッツァ・ヴェネツィアでのなにかのイヴェントのリハーサル中のグリゴーロの写真に、《シモン・ボッカネグラ》のアドルノの扮装をしたステファノ・セッコを並べてみました。

関連記事:
《ジャンニ・スキッキ》リヌッチョ:ミラノ・スカラ座★☆VideoClip
24才のアメリカ人テノール、スカラ座での「ひどい体験」を語る

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コメント 6

rosina

倫理的には、歌手なんだから歌唱が良ければ良いはずですが、実際には容姿の良し悪し(年齢、身長や頭の禿げ具合も)も判断基準になるのがパフォーミング・アーツの世界ですもんね。

>ラウレッタ役のニーノ・マチャイゼ

この人は来年1月にボローニャでフローレスと共演で『清教徒』に出演予定です。背が高いんですね。王子は公表では175cmですが、実際には173cm位の様子(私が154cmで並んだ感じでは、175cmの主人よりも低い感じがしました)。

>だけど、みなさんと、テクニックと神のお陰で、やれました。

グリゴーロ君って敬虔なカトリック教徒なんですか? 礼拝堂の合唱隊に居たくらいだから、そうであっても不思議ではないかもしれませんが、なんだか、いつも神様にも感謝を捧げるのを忘れていませんよね?
by rosina (2008-08-01 05:38) 

keyaki

rosinaさん、まあ、論理的には第一に歌えなきゃお話にならないということであって、とうていその役柄にふさわしくない容姿でいいというわけではないんですけど、仕方がないから我慢しているだけでしょう。ふさわしい容姿の歌手がいれば、そっちを使うのが自然でしょうね。
特にこの演出だと、最後のラウレッタとリヌッチョが抱き合っているところが絵にならないと漫画になっちゃいますもの。

>>ラウレッタ役のニーノ・マチャイゼ
実際にはわかりませんが、小柄というかんじにはみえないですけど。
グリゴーロ君と並んだかんじでは、165〜170くらいはありそうじゃないですか。

フローレスは公表してるんですか。エライですね。
有名スター歌手は、俳優並に、身長、生年月日、結婚とか子供の有無くらいは公表してほしいです。

>敬虔なカトリック教徒
どうなんでしょうね。バチカンの少年聖歌隊は、世界から集まっていて、合唱だけでなく他のお勉強も全部するみたいですから、神様が身近なのかもしれませんけど。イタリアもカトリック離れが進んでいるとはいえ、根っこの部分では、そういうDNAがあるんでしょうね。親戚に必ず、一人や二人聖職者がいたりするようですし。

by keyaki (2008-08-01 15:07) 

euridice

>ステファノ・セッコ
とりあえず、ごく普通のというか、テノールのステレオタイプそのものという感じですね^^;;
by euridice (2008-08-01 18:44) 

keyaki

>テノールのステレオタイプそのもの
そうですね。なんでだろう。
こういうごくごく普通の人は、演劇とか映画ではその他大勢とかエキストラなんだけど、主役をやっちゃうというのがオペラ界の不思議ですよね。

by keyaki (2008-08-02 01:22) 

Madokakip

keyakiさん、あらためて、こちらの記事を紹介してくださってありがとうございました。
スカラ座公演の上映では、係員からもプログラムにも何の説明もないまま、
(キャスト表もセッコのまま、、)
舞台だけグリゴーロに交替していて、
私もあやうく、グリゴーロをセッコと思い込むところでした。
この交代に至った経緯、それからグリゴーロがどのようにファン&アンチの方々に
とらえられているか、というのを知るのも興味深かったです。
ポップも歌っているんですね。知りませんでした。
私的には、オペラの全幕の舞台での歌唱に悪い影響がない範囲であれば、
ポップだろうと演歌だろうと、好きに歌ってください、という感じで、
他の記事で書かれていた彼のスタンスは当たり前というか、全然傲慢でも何でもないと思いますね。
むしろ、人に何を思われようと自分が正しいと思うことをやり遂げられる意思の強さがオペラ歌手には絶対に必要だと思います。

スカラ座の上映を見る限りは、非常に先が楽しみなテノールだと思いました。
これからの活躍が楽しみですね。



by Madokakip (2008-08-17 03:37) 

keyaki

Madokakipさん、いらっしゃいませ。
オペラ歌手のキャンセル、交代は、オペラファンとしては仕方がないとあきらめてはいるものの、なんで?!と気になるものです。
この件は、第二キャストのファビアーノ君はがっかりでしたが、若いグリゴーロのリヌッチオは好評で、スカラ座よくやった...ということでしょうか。

ポップとオペラ両方というのは、時間的にかなりハードなようです。年間オペラは3本ということなので、他の売れっ子オペラ歌手に比べて、少ないので、その辺がオペラファンには不満でしょうし、ポップのファンにしてみれば、他のポップ歌手よりツアーが少なかったり、アルバムの発売が遅れたり、と不満があるでしょうね。
7月4日のアメリカの独立記念日のイヴェントにも出演予定で、ずっと名前が出ていましたが、彼にしてみれば、みんなに混ざって、たった一回歌うためにワシントンまで行く時間がなかったのでキャンセルしたんだと思いますが、ポップのファンの方たちは、がっかりだったようです。オペラファンから見れば、このスケジュールは無理だと思ってましたけど。
二兎を追う者は....にならないようにして欲しいですね。


by keyaki (2008-08-17 09:55) 

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