ヴィットリオ・グリゴーロ 34才.....スイスでのインタビュー記事

　２月19日はヴィットリオ・グリゴーロの誕生日、34歳.....ちょうどチューリヒに滞在中で、「今日、ヴィットリオ・グリゴーロは34才.....」という書き出しのJournal21の記事が掲載されました。もう１つ、16日にスイス各紙、Tages-Anzeiger, Der Bund, BernerZeitung, Basler Zeitung に配信された記事 "Der Senkrechtstarter in der Opernwelt" 、こちらもJournal21の記事同様、筆者は女性ジャーナリストですが、「舞台で恋に落ちたことは？」と女性ならではの質問とか、「歌手は指揮者より重要...」とか、なかなか面白い内容です。その一部をいつもの同好の方に訳してもらいました。


自信満々
彼は"italiano vero"で、情熱的な猪突猛進タイプだ。指揮者と意見が合わない場合、独自の態度をとることができる。「話し合います。でも、大方は自分の考えを変えません」その理由：「歌手は指揮者より重要である。指揮者と違って、私は観客の前に立つのです。指揮者が身振りをミスしても、だれも気がつきません。私が音を外したら、観客はブーイングをします」

驚いたことに、彼は自信満々であるにもかかわらず、舞台に出るといつもあがる。「常にです」とグリゴーロは言う。「あがるのがこわいのはこういうことです。自分自身が自分の前に立ちはだかるのです。よくやりたい、最高のものを提供したいと、思います。この緊張と興奮があがらせるのです。観客のせいでもないし、役が原因でもありません」だから、彼はあがらないようにしようとはしない。「舞台の上では、純粋なエネルギーが生まれるのです。これこそが私にとってのオペラの神秘です。こういう感覚に中毒になるのです」

緊密なキス
この歌手（グリゴーロ）は最高に魅力的な歌手仲間と共に舞台に立ち、その腕に抱かれ、熱烈なキスをされる・・　恋の炎が燃え上がったことはないのか。グリゴーロの答え「ありません。舞台の上で恋におちたことは決してありません。でも、もちろんいつも必ずパチパチ音を立てて燃えあがってます」例えば、アンナ・ネトレプコとの共演。ロンドンの《マノン》で共演して、この時も、キスしまくった。「ああいうときは、だれだって、永遠にずっと舞台にいたいと思うでしょう」と言ったテノールは、もうとっくにイラン人と結婚している。

ヴィットリオ・グリゴーロにとって、若い新しい観客をオペラに呼び込むことが、重要な関心事である。「高いチケットの値段が障壁になっているのではないと思います。オペラを知る機会を提供することが重要なのです」彼にとってオペラは世界共通言語だ。みんなと分かち合いたい情熱なのだ。だからこそ、2006年にオペラとポップスを結びつけるアルバムを録音したのだ。このCDはイギリスのトップテンに入った。最新のCD« The Italian tenor »では、彼本来の分野に戻った。ヴェルディ、ドニゼッティ、プッチーニのアリアがリサイタルの中心だ。グリゴーロのベスト・プログラムである。(全文/Marianne Mühlemann/16.02.2011)

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コメント 2

若い若いと思っていたグリゴーロも34歳ですか。あちこちの大劇場で成功した自信のなせる業かもしれませんが、少年みたいな表情も少なくなって、大人の男っぽい印象になりましたね。

「歌手は指揮者より重要である。」と語っているところ、拍手しそうになりました。ついでに「指揮者だけでなくどんな演出家よりも重要だ。」とも言ってくれたらよかったのに。昨今のトンデモ演出全盛をなんとかする望みは、どんな演出でも歌でドラマを成立させることのできるグリゴーロのような歌手にかかっていると勝手に思っています。目を覆うような演出をものともしない力のある歌手にこそ「こんな演出で歌う気はない」と言ってほしいと願います。

keyakiさん、「Opera Award 2011」どんなものかご存知ですか？
テノールのところが気になります。

by ペーターのファンです。 (2011-02-22 21:13) 

ペーターのファンさん
グリゴーロは、変な演出には出ないと言ってますが、来々シーズン、メトとかスカラのリゴレットがリュック・ボンディの新演出なんですよ。トスカはかなり評判が悪かったんですけど、どうなるのか....
ノルマも、テノールはたいした役じゃないから...と言ってますが、ロバート・ウィルソンの演出だからやめたんだと思います。

>「Opera Award 2011」
そろそろ紹介しようかと思ってました。
イタリアのオペラ雑誌の読者投票なんですけど、カウフマン、フローレス、グリゴーロがノミネートされているんですよね。カウフマンがなぜかダントツ....イタリアではそんなに人気があるとは思えませんけど....
ぜひ、グリゴーロに清き一票をお願いします。


by keyaki (2011-02-22 23:14)