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グリゴーロの公開レッスン:3時間休憩無しの熱血指導 天真爛漫お茶目ぶりも発揮 (2015.4.7) [東京リサイタル・公開レッスン関連]

gri_lesson.jpg◎昭和音楽大学のfacebookに公開レッスンの写真が3枚掲載されました。右の写真は、そのうちの一枚。

◎レッスンを受けたソプラノの尾形 志織さんのブログ *Shiori Ogata 公式BLOG *に公開レッスンの感想がアップされています。
(2015.4.18)
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 4月7日、昭和音大のテアトロ・ジーリオ・ショウワで公開レッスンが行われました。おそらくこの様な観客を入れての一般公開のレッスンはグリゴーロは初めてだと思います。観客は声楽専門の方とか学生さん、それから私のような普通のオペラ好きの人たち、けっこうたくさんいらしてました。

 私が、ヴィットリオ・グリゴーロの存在を知ったのが、2008年6月、その時から、彼の声、歌い方に惹かれてネットで追っかけを始めました。グリゴーロについてはじめて書いたブログの記事が「ワシントンのジェンナーロはヴィットリオ・グリゴーロに...オペラ+ポップス歌手☆13才ボーイソプラノ」。海外に行ってまでの追っかけはめんどくさい(実は出不精)のでしませんでしたから、この公開レッスンが初生グリゴーロです。でもなんか初めてって感じがしませんでした。

 6時開場で、6時半からでしたが、6時数分過ぎにグリゴーロが一人でフラフラと現れてピアノを即興で弾き始めました。グリゴーロって「ピアノ大好き」なので、ピアノがあるとすぐ弾いちゃうようです。サックスのモノマネ風(これはお得意でよくやる)の鼻歌、口笛まじりで20分くらい弾いてました.....次にステージに腰掛けて英語でペラペラ話しはじめて、かなり喋った後、客席に向かって「英語分かる? 何語で喋る?」なんて言ってたらあわてて通訳さんが出て来てイタリア語になりました。pausaの重要性、comunicazioneの大切さ、知識の使い方、音楽の功用、今日は他のことは考えないで僕に集中してね....
gri_lesson_tokyo_3.jpggri_lesson_tokyo_1.jpggri_lesson_tokyo_2.jpg

グリゴーロの即興演奏に興味のある方は、ほんの一部ですが....こちらを
クリック

 公開レッスンは、受講生の方たちは大変だったと思いますが、見ている方は、面白い、楽しい、圧倒されっぱなし、長年ネットで追っかけしていますので、まあ、普通の公開レッスンということはないな、多分止まらなくなって時間も延びるぞ.....と想像していましたが、案の定、トイレタイムも無しの3時間でした。通訳兼進行係の方が、5分だけでも休憩とりましょうか....と提案しましたが却下、そのとき最前列の女性二人が多分トイレに行こうとして席を立ったら、グリゴーロ「どこへいくの、帰っちゃダメ」と引き止め、「ふざけてごめんね」だって。進行係の方が「トイレに行きたい方はどうぞ」とフォローしていました。
 お手本歌って喋って3時間ぶっ続けで一番疲れたのはグリゴーロでしょうね。最後には「お腹すいたよぉ〜」って日本語で、「声が残ってたらコンサートやるよ」だって。

受講生は5人
■工藤翔陽(テノール/昭和音楽大学大学院修士課程2年):フェデリーコの嘆き(アルルの女)/ 人知れぬ涙(愛の妙薬)
■小野寺光(バス・バリトン/昭和音楽大学大学院修士課程2年) :外套の歌(ボエーム) / 少しばかりその目を開け(フィガロの結婚)
■尾形志織(ソプラノ/藤原歌劇団準団員) :あの人の優しい声が~香炉が.. (ルチア) / おかしいわ!おかしいわ!~(椿姫)
■井出司(テノール/藤原歌劇団団員):燃える心を(椿姫) / この剣の役目です(カプレーティとモンテッキ)
■山内政幸(テノール/藤原歌劇団団員):そうだ、お前達の言う通りだ…(ヴェルディの海賊)/ ああ太陽よ昇れ(ロメオとジュリエット)


どんな内容だったか...文章にするのは面倒なので、思い出せるだけ箇条書きで。
・最初の工藤君、上着、シャツまで脱がされちゃいました。後の方は、上着とネクタイはずしただけで許してもらってました。
・歌っちゃダメ、気持ちを表現して
・Vecchia zimarra" の学生さんには、「やっと自分のアリアが歌えるって喜んじゃだめ、気持ちを考えて....」
・受講生全員に共通することは、「口を母音のOオーの形にして、口の中のスペースを最大にして声は頭頂に響かせること」グリゴーロもお手本を見せながら受講生の顎を下に引っ張るように両手でなでるわ、とにかく密着指導.....自分の身体を楽器にする声楽って凄い....こうやって日々鍛錬するんだな.....頭が下がります
・正しく声を響かせられれば、大きな声も弱音も楽に出せる...今のままの発声だと歌手生命短いよ....なんて言われていた学生さんも
・ルチアを歌ったソプラノさん、なかなかよかった....グリゴーロにいろいろ言われてたけど、めげずに挑戦して良くなった部分もあったし。グリゴーロのルチアもよかった.....
・グリゴーロの腹筋を受講生に叩かせながら歌ってましたが、「もっと強く、もっと強く」ってバンバン叩いても声が揺れない強靭な腹筋....声の響かせ方、支え方を体験させてました
・身体に力が入ってちゃダメだけど、指の先までエネルギーが伝わるように、システィーナ礼拝堂の天井画のように
・オペラ歌手はバレエダンサーのようにどこを使うといいのか、どうなるのかよく知らないとダメ
・ブレスは表現としてのブレスもある
・受講生それぞれに「ウチでどういう発声練習してるの?」って聞いて、やり方をアドバイス
・椿姫の「燃える心を」は僕のレパートリーだよ....って歌ってくれた
・「ロメオとジュリエット」の受講生に「今まで何回くらい恋をしたことあるの?」口ごもっていたら、「観客のことは気にしないで教えて」「ええ!11回も...それが本当だったら、僕はひざまずいちゃうよ」
・「ジュリエット出て来て、出て来て....っていう気持ちで歌ってね」、と情感たっぷりにお手本をちょっと歌ってくれました
・「ロメオとジュリエット」を歌った受講生は、恰幅のいいちょっと頭の薄いテノールさんでしたが、「ロメオより、カヴァラドッシとか.....アイーダもいいかも、声的にもロメオなんかよりもっと英雄的なものの方がいいと思うよ、選曲も大切」

 やっぱり型破りな公開レッスンでした。声楽専門の方たちにとっては当たり前のことを教えているんでしょうけど、素人には凄く面白い内容でした。

4/7「ヴィットリオ・グリゴーロ 声楽公開レッスン」開催
2015年4月7日(火)  18:30開講
会場:昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ
講師:ヴィットリオ・グリゴーロ(テノール)
ピアノ:ヴィンチェンツォ・スカレーラ
通訳:田口道子
出演:藤原歌劇団団員/昭和音楽大学大学院生(予定)
主催:公益財団法人日本オペラ振興会   

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コメント 5

Yuchetta

keyakiさん、早速上げてくださってうれしいです。
きれいにレポートするには、内容がてんこ盛り過ぎましたよね。
声と体のコントロール、物語の背景と感情の入れ方、考えて歌っているのがよくわかりました。長年の経験の賜物聞かせてもらえてありがとう、と思います。
受講生の方は大変でしたよね。いろいろ要求されて、触られたり触ったり。緊張もあるでしょうに。素人より得るものがたくさんあったでしょうから、感想聞いてみたいです。
テレビ番組にしたら面白いよね、と言ってましたが、日本ではマイナーなオペラファンしか見ないでしょう。私は見ますけど。
keyakiさんのコメントで普通じゃないんだろうな、と思ってましたが、私としては予想と期待を遥かに超えるものでした。聴衆も忘れずにいてくれて、結構昨日で満足してしまいましたが、金曜もありますね。
今も随分好きなつもりですが、ますます好きになりそうです。





by Yuchetta (2015-04-08 18:05) 

michelangelo

keyaki様

こんばんは。4月7日の特別公開レッスン、時を同じくして私も聴講致しました。

元々のクラシック音楽入門がイタリア・オペラであり、三大テノールCDに教育された私にとって、初めて生で聴くヴィットリオ・グリゴーロ氏の声そのものに感動し鳥肌が立ちました。

残念ながらパヴァロッティ氏の実演に接することは叶いませんでしたが、プラシド・ドミンゴ氏とエディタ・グルベローヴァ氏による声(鼓膜に突き刺さるような鋭く耳を捉えて離さない響き)と、同質、同レベルにある感動的な声を体験でき、感慨一入です。

それにしましても、パンツから見える赤いパンツは洒落ていて流石はイタリア人でしょうか。又、お疲れのところ密に受講者らと接触していたうえ、寒い夜に半袖姿でしたから少々心配ではありますが、体力抜群の印象を受けました。千秋楽のご感想も、楽しみにしています。
by michelangelo (2015-04-09 00:39) 

keyaki

Yuchettaさん
本当に貴重な体験でしたね。
オペラを勉強中の方たちにもいい刺激になったでしょうね。

>テレビ番組にしたら面白いよね、と言ってましたが
いつ頃だったか歌謡曲とか演歌でプロの歌手が教える番組があったような気がします。ネットで配信すれば、YouTubeでもいいですよね。
by keyaki (2015-04-09 10:12) 

keyaki

michelangeloさん

>三大テノールCDに教育された
私もです。ただし、ルッジェーロ・ライモンディが好きでしたので、共演者がドミンゴ、パヴァロッティ、カレーラスが多かったってことなんですけど。でもドミンゴ、パヴァロッティ、カレーラスの声は分かります。グリゴーロの声に惚れたのも顔を見なくてもグリゴーロって分かるから、オペラを音だけで聞いていて誰が歌っているのか分からないのはストレスがたまりますし、面白さ半減ですから。

>パンツから見える赤いパンツは洒落ていて流石はイタリア人でしょうか
そういう年代ですよ.....ウチは娘(グリゴーロより一才下)ですけど、先日も帰って来たとき「○○ちゃん、パンツ見えてるよ」って言ったばかりです。いいんだそうです.....ファッションですね。

>寒い夜に半袖姿
ウチの娘も薄着ですよ....寒くないんだそうです。

ついつい母親感覚で見ちゃうんですけど、タトゥーがまた一つ増えていた方が気になります。日本のホテルではプール「お断り」されちゃうこともあるのに。

それにしても貴重な体験でしたね。レッスンがメインとはいえ聴衆の心を掴むのがうまい....やっぱり将来は首相になれるかも。
by keyaki (2015-04-09 10:35) 

keyaki

michelangeloさん
グリゴーロと同年代でいらっしゃるんですね。
だとすると上のコメントなんかトンチンカンですね。

グリゴーロはオペラの世界に足を踏み入れた時から、若い人にオペラを知って欲しいと言っていますから、オペラ全体では高齢化が問題になっていますが、グリゴーロに関しては、若返りが成功しているのかもしれませんね。一時期ポップス(Popera)活動をしていたのもそのためだったんですが、クラシック純粋主義者には面白くなかったようです。グリゴーロ本人は今でもPoperaで世界的ヒットをねらっていてチャンスを待っているようなことを言っていますが。
by keyaki (2015-04-09 13:40) 

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