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DOB「椿姫」(2012.1.29/2.3) ☆ La traviataの公演記録(2012.2.3まで) [La Traviata 椿姫]

 ロンドンのマラソン「椿姫」の最終組(1月23/25日)最終ランナーのはずだったグリゴーロは、最終日は、インフルエンザで降板、29日のベルリン(DOB)での「椿姫」は、どうなるのか心配でしたが、1月29日、2月3日両日とも出演しました。嬉しいことに、ちょうどヨーロッパを旅行中だったヴァランシエンヌさんが、グリゴーロが出演するからと、好きとは言えない「椿姫」を鑑賞、特にグリゴーロのアルフレードがよかった.....とブログに記事「120129 椿姫@ベルリン・ドイツ・オペラ」を掲載されています。ロンドンの椿姫さんの「椿姫マラソンの通信簿」で、最高点をもらっていますし、歌よし!見た目よし!ということですね。
 インフルエンザでROHの25日の公演をキャンセルしたグリゴーロですが、29日からのベルリンの公演は元気に出演しましたが、完全回復ではなかったようで、2幕はじめのアルフレードの"Oh mio rimorso!"の最後はハイCを避けたそうです。(ちょっと吃驚しました...とグリゴーロのロシア人のファンが教えてくれました) 無理して声がひっくりかえって、劇場をシーンとさせるよりは賢い選択ですね。

 今では、アルフレードは、グリゴーロの主要なレパートリーですが、オペラ歌手としてデビュー当時は、やりたくない役だったそうです。右の写真は、多分昨年の12月にクリスマス・コンサートのためにローマに戻った時に、ゼッフィレッリ(1923.2.12)を訪問したのではないかと思います。最近ゼッフィレッリは、表舞台に出ていないようですが......前にもゼッフィレッリ演出の「愛の妙薬」の話しがあるが、彼が病気で実現していない....というグリゴーロの話しもありましたし....写真では元気そうですが、「椿姫」の舞台写真を広げて、思い出話でしょうか......グリゴーロはゼッフィレッリによって、アルフレードという人物に興味を持ったと次のように語っています。

あなたにとってアルフレードという役はどんな意味がありますか。
正直に言って、この役は全然歌いたくなかったです。2000年にフランコ・ゼッフィレッリからの話でさえ断ったほどです。ゼッフィレッリはブセットで私でやりたかったのです。当時はこの人物を理解できないと思ったのです。アルフレードは非常に愚かで弱い男だと考えました。そして、私はとても情熱的で、ロマンチックで、その上、すぐに興奮します。私にも気弱な面もありますが、とりわけ舞台の上ではものすごく活動的です。だから、いつでも英雄的な役を演じたいのです。でも、2007年にローマでゼッフィレッリの演出でアルフレードをやりました。そして、その時に、アルフレードは実際は非常に強い性格の人物であるとわかりました。当然弱さも持ち合わせています。とりわけファーザーコンプレックスが強い。しかし、あの時代にヴィオレッタのような女性に夢中になって、単に関係を持ったのではなく、心から好きになったのだと私は思います・・、最後には当然結婚するつもりだということは、絶対に勇気が必要です。アルフレードは、マグダラのマリアを抱きしめたキリストのように思われることがあります。なぜなら、彼はヴィオレッタに世間的なものとは別の清らかさを見出していたのです。これもまた成熟した愛の形です。こういうことを理解するには、2000年の私はまだ若すぎました。
(ドイツのオペラ雑誌"OPERNGLAS"のインタビュー全文)

Deutsche Oper Berlin《椿姫》2012年1月29,2月3日 全2公演
Stefano Ranzani指揮,Götz Friedrich演出
Marina Rebeka(Violetta Valéry),Vittorio Grigolo(Alfredo Germont ),Alexandru Agache/Sebastian Catana(Giorgio Germont ),Rachel Hauge(Flora Bervoix)/Martina Welschenbach(Annina ),Burkhard Ulrich(Gaston ),Stephen Bronk(Baron Douphol ),Krzysztof Szumanski(Marquis D'Obigny),Jörn Schümann/(Doktor Grenvil )

ヴィットリ・グリゴーロ 《椿姫》公演記録
ガストン:

☆2000年3月27〜4月2日:カリアリ(5公演)
☆2000年4月29〜5月3日:ローマ歌劇場(4公演)

アルフレード
★2007年4月20〜5月3日 ローマ歌劇場(4公演)
★2008年9月30日:チューリヒ中央駅構内
★2009年7月11,15日:オランジュ音楽祭(2公演)
★2009年8月13日:バールベック国際フェスティバル
★2009年9月6〜19日:フェニーチェ(5公演)
★2010年4月10〜21日 :バレンシア(5公演)
★2011年1月8,21月 :DOB ベルリン・ドイツ・オペラ(1/2公演) 風邪でキャンセル
★2012年1月23,25日 :ロンドン(1/2公演) インフルエンザでキャンセル
★2012年1月29,2月3日 :DOB ベルリン・ドイツ・オペラ(2公演)

関連記事:
[La Traviata 椿姫]
[La traviata フェニーチェ2009]
[La Traviata オランジュ音楽祭]
[チューリヒ中央駅の椿姫]
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コメント 12

Kinox

Keyakiさま、昨日のこれ聞かれました? グリゴロの出番は随分後ろのほうですが、Angelo casto e belのすばらしい叙情にうっとり、そして声のために2曲目は生で歌わない! と宣言したグリゴロのすがすがしさはあっぱれ、でした。

http://www.bbc.co.uk/programmes/b01blr30#segments
by Kinox (2012-02-08 02:06) 

keyaki

Kinoxさん
聞きました。これっていつの収録なんでしょうね。ロンドンでは風邪を引いちゃったようですけど。

>Angelo casto e belのすばらしい叙情にうっとり

ピアノ伴奏でライヴで歌うってめずらしいですよね。
相変わらず"Messa di voce"がいい....
実はグリゴーロの歌唱で"Messa di voce"のテクニックを認識したんですよ。

リンクありがとうございます。
この番組はオンデマンドで一週間聞けるし、聞きたいところから聞けるので便利ですね。グリゴーロは、1:29くらいからです。
by keyaki (2012-02-08 11:44) 

ヴァランシエンヌ

リンク、ありがとうございました。
DOBは集客が悪い時もあるんですが、主役が人気の若手二人ということも大きかったんでしょう、今回はほぼ満席でしたし、若いカップルも多かったし、熱気を感じることができました。
カーテンコールではお客さんもノリノリでしたから、嬉しそうにしてました。

やっぱりヴェルディには、合ってますね。私は「リゴレット」は「椿姫」以上に苦手なので、マンリーコかドン・カルロが聴きたいです。
特にマンリーコは、まだ歌わないと仰っているとのことですが、キャラクター的にも合っていると思うんですけどねぇ。

また私の旅行とタイミングが合えば、聴いてきますね^^
by ヴァランシエンヌ (2012-02-09 11:22) 

keyaki

ヴァランシエンヌさん
こちらこそありがとうございます。

>DOBは集客が悪い時もあるんですが、主役が人気の若手二人ということも大きかったんでしょう、今回はほぼ満席でした
グリゴーロ特別出演みたいな宣伝してるみたいですし....公演数も少ないですし。ボエームも椿姫も定番のゲッツ・フリードリッヒ演出ですし、劇場側はきっと儲かってますね。

ドン・カルロ、数年前に歌って、とてもよかったんですけど、なんでもテッシトゥーラが半音くらい下っちゃったので、今のところレパートリーからはずしたそうです。
マンリーコはぴったりの役だと思いますけど、慎重になっているんでしょうね。外野がうるさいですし。

>また私の旅行とタイミングが合えば、聴いてきますね^^
期待してます。
by keyaki (2012-02-09 15:44) 

ふくきち

ゼッフィレッリは、引退宣言をして、ローマで隠居生活を送っていると思います。以前、日本の音楽雑誌にハッキリ「引退」と書かれていました。
写真を見ると、かなり老けた感じですね・・・。
引退後に、どのくらい演出が残るものなのでしょうかね。
ポネルの演出は、現在も上演され続けているようですが。
by ふくきち (2012-02-10 00:09) 

keyaki

ふくきちさん
引退しちゃったんですか。
グリゴーロが訪ねてくれて嬉しかったでしょうね。
デッシーを椿姫から降ろしちゃった頃から、ちょっと老化現象だったのかも....その後、ヴェローナにマイクを導入させたりもありましたし。
亡くなってからの方が、再演されたりする可能性もありますよね。
ボエームはスカラ座もメトもゼッフィレッリですけど。
自伝の続きを書いて欲しいですね。オペラ歌手のこととかも。

>ポネルの演出は、現在も上演され続けているようですが。
ゲッツ・フリードリッヒの演出も大事にされているようですね。
椿姫、ボエーム、トスカも....
ヌッチもドイツ圏の演出は要注意と言ってますが、こういうのには安心して出演できるということですね。
by keyaki (2012-02-10 01:18) 

Kinox

> Messa di voce
http://en.wikipedia.org/wiki/Messa_di_voce
感動しました。ものには何でも名前があるんですね。この記述を読んで私が思ったのがカバリエなんですが、あのピアニッシモで始めて、うわっと音量が上がるのはこのMessa di voceなんでしょうね。ありがとうございます!
by Kinox (2012-02-10 02:21) 

Nanako

Keyaki様
記事と関係はありませんが、
http://www.gute-tat.de/nachrichten/detailansicht/items/der-benefizkalender-klassik-stars-2012.html
クラシックスターズチャリティカレンダーの5月グリゴーロですね!
by Nanako (2012-02-10 10:43) 

keyaki

Kinoxさん
グリゴーロのボエーム(2007年ワシントンオペラ)を聞いて、最後の音符をのばすところが、静かにはじまってふくらませて静かに終わる....という風になっているところがかなり多くて目立ったので、グリゴーロが勝手にやっているのかと思ったんですが、楽譜をみたら、ちゃんと<>の指示があるんですよ。これって、支えがしっかりしてないと無理ですよね。mezza voce(弱音)同様に。
by keyaki (2012-02-10 10:48) 

keyaki

Nanakoさん
ありがとうございます。
Gute-Tat.deというドイツの慈善団体のようですね。
6月がカウフマンですか....なぜか白黒
by keyaki (2012-02-10 11:24) 

keyaki

Kinoxさん
2曲目を断った件、「無作法だ...」とbbcradio3のfacebookでコメントした人がいます。
やっぱり...ですけど、グリゴーロのオペラに対する敬意を理解できない人には「若いくせに生意気」にうつるんでしょうね。
その後、フォローしてくれる人もいたので、まあよかったですけど。
http://www.facebook.com/bbcradio3
by keyaki (2012-02-13 09:50) 

Kinox

これは2曲目を歌わなかったこと自体じゃなくて、グリゴロの理由説明にあったんでしょうね。たしかにやらないと切り出した時は機嫌も悪そうで、ホストのお姉さんがちょっとあせって明るい発言をしてましたっけ。ドイツから降り立ったばかりで喉の調子がいまひとつ、開演後に全力発揮したいので、今は大事をとりたい、ごめんなさい、くらいだと波風立たなかったのかもしれませんが、ヴィットリオくん、事前に確認したのにこういう音響のスタジオで・・・、なんてことまで正直に言っちゃったりしてませんでしたっけ、そういうのが少々気に障った方もいるんでしょう。イギリスでは周りがちょっと居心地悪くなるようなことを言うのはマナー違反とすぐに反応する人が多いですね。また、グリゴロは英語はかなり上手ですが、外国人の英語(アメリカ人のも含め)は、言い方によっては、英国人には随分直接的でぶしつけな言い方に聞こえてしまうということもあるかもしれません。
リスナーとしてはまさに、グリゴーロのオペラに対する敬意、が非常によく分かったエピソードだったし、そして大抵のクラシック好きは2曲目を歌わなかった理由は、納得できるものだったとは思うんですが。
by Kinox (2012-02-15 02:33) 

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