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スカラ座 2011・2012シーズン開幕:Corriere della seraのインタビュー記事 [インタビュー&記事]

 ミラノ・スカラ座2011/2012シーズンが、はじまりました。開幕公演は「ドン・ジョヴァンニ」、指揮はバレンボイム、演出はカーセン、素晴らしい、期待はずれ...いろいろあるようですが、歌手は総じてまあまあ好評のようです。ドン・カルロでスカラ座と喧嘩別れしたフィリアノーティがドン・オッターヴィオで復帰とかアンナ・ネトレプコが「ロシア語のオペラはいやよ、ベルカントかフランスのオペラを歌いたいの!」と公言していたんですが、ベルカントとはいきませんでしたが、イタリア語オペラに初出演というのも話題ですが、フィリアノーティは、術後の不調をまだ引きずっているようですし、ネトレプコは、それなりにいいけど.....ちょっとね.....見た目はマトリョーシュカだし、歌は、モーツァルトじゃないよヴェリズモじゃないの....まるでジョルジェッタ(外套)だね....マンマ・ミーア!マイクから声が.....というような感想もあって、ウィーンとかメトとかロンドンのように大人気ということもないようです。ちなみにネトレプコは、2000年10月にゲルギエフ指揮の「戦争と平和」に出て以来、11年ぶりのスカラ座です。

 今シーズンといっても来年の秋ですが、グリゴーロは、「ボエーム」と「リゴレット」に出演します。どちらも定評のある役ですし、今歌うのにふさわしい役ですので、スカラ座での評価が楽しみです。
 期待の若手イタリア人テノールだったフィリアノーティは不調ですし、更に若手のフランチェスコ・メーリは、なにを血迷ったかマンリーコなんか歌っちゃうし........地道に着々とキャリアを積んでいるグリゴーロがイタリア人テノールの期待の星ですね。
(写真右:大成功だったLAオペラの「ロメオとジュリエット」の最終公演後のサイン会、ニーノ・マチャイゼと。彼女とはスカラ座の「リゴレット」でも共演します)

 今シーズンはじまったばかりですが、来シーズンの開幕公演は「ローエングリン」キャストは、カウフマン、ハロテロス、パーペ、ヘルリツィウス、指揮はもちろんバレンボイム、演出がグートだそうです.....ベルリン国立歌劇場ミラノ支店というかんじですね。
参考:最近のスカラ座開幕公演
2006アイーダ、2007トリスタンとイゾルデ、2008ドン・カルロ、2009カルメン、2010ワルキューレ、2011ドン・ジョヴァンニ、2012ローエングリン

 さて、シーズン開幕にあたって、Corriere della sera で特集記事がいろいろ組まれたようですが、その中に、グリゴーロのインタビュー記事も掲載されました。

Grigolo, teatro e tv. «Un po’ di narcisismo 
fa bene alla lirica»
 Daniela Zacconi/
6 dicembre 2011 (PDF)

★テノールのグリゴーロ、劇場とテレビ "ちょっとしたナルシズムがオペラには好都合"/ボエームとリゴレットを引き受けたアレッツォ出身の歌手

  世界の大劇場は彼を競って使いたがる:アレッツォ生まれのローマ育ちでロサンゼルスに住むヴィットリオ・グリゴーロは、オペラの新しいアーティストの一人であり、情熱的で説得力のある「若いテノール」だ。舞台の他にテレビでも脚光をあびていることも軽く見てはいけない。2010年にマントヴァから生中継されRaiで放送された豪華絢爛な「リゴレット」、リゴレット役デビューのプラシド・ドミンゴと一緒にグリゴーロがマントヴァ公爵を歌った大プロジェクトだが、大勢の聴衆は、彼の素晴らしさを知った。スカラで、彼は、すでに何度か歌っている.....それどころか弱冠23歳でムーティ指揮のコンサートで歌っている....スカラ座創設以来の最も若いテノールの記録を保持している....また、彼はミラノの聴衆に愛情を寄せている。だから、来年の秋、二つのタイトル「ボエーム」と「リゴレット」でポスターに名前があることを喜んでいる。「スカラは、関心を示す観客のいる、注意を必要とする劇場です。僕は、僕の熱意をすべて投入します、しかし、外からの圧力によって影響されません、なぜなら、役作りは、強制されて変えることはできませんし、自然ではなくなりますから」....。「ロメオとジュリエット」で勝利を収めたロサンゼルスからチューリヒ(オッフェンバックの「ホフマン物語」で6日から舞台に立つ)に到着してすぐに34歳のアーティストは語った....「僕は、"ジャンニ・スキッキ"と最近では"ロメオとジュリエット"でたくさんの拍手喝采を得ました。そして今"ボエーム"と"リゴレット"でミラノに帰ってこられたことが嬉しいです。僕はオペラが大好きですし、僕のキャリアであるオペラは、すでにたくさんの満足を与えてくれています。これらの役は、世界でも称賛された自慢できる役なんです。だから、自分の家でもそれらの役をやらないわけがないでしょ?」

ロドルフォと公爵、二人の役柄はかなり異なりますね....

「ロドルフォは分かりやすいです。愛を探し求めるボヘミアンのロメオで、オペラは、登場人物を苦しめるものだから愛を得てから悲劇に直面します。公爵は陰険で軽薄に見えるかもしれません。でも彼の心理状態を理解する必要があります。つまり、今ではもう存在しない権力を味わい楽しんで、人生の期待が低かったそういう時代で...要するに、その日その日を生きるってことかな。おそらく、これにもまたうまくやれます。どうしてかって、僕もちょっと彼のように暮らしている、その日暮らし! ロドルフォも公爵も僕の人生経験で、たくさん参考にできることがあります。アーティストは、実生活から80%くらい舞台に持ってくると思います。人生体験は、五線譜の主張に取り組み、さまざまな方法でスコアをスケッチする可能性を与えてくれます。そうでなければ、そこには、なにもない白いパレットだけでしょう。迅速で多彩な"印象主義"であることが必要です。」

テレビ放送の「リゴレット」は、オペラの世界に縁のない人々にも評判でした。あなたは、テレビが決して劇場の代わりにはならないと思いますか?
「より広範囲に渡る聴衆に扉が開かれる手段を最大限に利用する賢明な方法だと思います。なぜならば、オペラは改革する必要があります。若い人たちにももっと「親しみやすい」ものにしなければなりません。しかし劇場は、テレビでは成功しない魔法の瞬間がある神聖な場所として残ります。テレビのスクリーンは2次元で、劇場は3Dで、音楽と視覚の奥行きを感じ取れます。」

あなたは、子供の頃から歌い始めましたが、歌手ではない他のキャリアを考えたことはないですか?
「いつも信念を持っていますし、家族の支えを感謝しています。歌は、僕の到着点....そこに決して到達しない、明らかにはるか先のゴールだといつも思います。でも、よく考えたら、いつも競争をしていなければならないけど、車のレーサーをすることもできたかもしれません。」

競争は、歌手のキャリアでも重要ですね....
「確かにそうですが、でも自分自身との比較です。それぞれのパフォーマンスで最も大きなハードルは、前の演奏です。毎回、前の公演よりも良くするために挑戦します。」

才能だけでなく魅力的だと評判ですけど、あなたのキャリアで美しさはどのくらい重要(重さ)がありますか?
「今5キロの重さ、完全に失うかもしれない(笑いながら)....僕は美しいとは言えないけど、"physique du rôle"だと思います。僕にとって飛び跳ねたり、走ったり、16歳を感じさせないロメオなんて考えられません。もちろん、そういうことをするためそういう身体であることが必要です。健康と、言わば、美しさとやらを神に感謝します。それから、美しいものが美しいとは限らないが、好きなものは美しい.....」

あなたは自分自身が好きですか?
「とても好きですよ! ケアすることと自分自身を愛することよりも美しいものはなにもない。ちょっとしたナルシズム....これほんと....すべてうまくいきます。」

★参考:ネトレプコとスカラ座:
実は、2010年スカラ開幕公演は、バレンボイム指揮、カーセン演出、ネトレプコ、グリゴーロの「ルチア」という話もあったようです。ネトレプコは2000年にスカラ座で歌ったことはありますが、その後、人気歌手の地位を築いてからは、ロシアものでなく、ベルカントかフランスのオペラを歌いたいと公言していて、なかなか実現しませんでした。そして、ベルカントではないですが、イタリア語のオペラでスカラ座出演が実現したことになります。やっぱり「ルチア」では、パラシュートで猫ちゃんが舞い降りてくるかレタスが飛んできそうですから、とりあえずモーツァルトでお茶を濁したってことでしょうか。
関連記事:スカラ2010-11シーズン開幕公演バレンボイム指揮《ルチア》に出演か? 

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