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Vittorio Grigolo パリで仏語インタビュー(Marc Zisman 2010.9.21) [インタビュー&記事]

 ヴィットリオ・グリゴーロは、初クラシックアルバム "The Italian Tenor"発売にあたって、プロモートのために世界各地でインタビューを受けています。ハンブルグでは、疲れてふらふらとかでチーズケーキを食べて、今からロンドンに行くとか言っていますから、このパリでのインタビューはその後ではないかと思います。
 さて、このパリでのインタビューですが、過去記事で『グリゴーロのフランス語のインタビューは、podcastで聞くことができます。実際には、CDからの曲を間にはさんでいて約40分ですが、それを削除して、おしゃべりの部分だけこちらにアップしました(右の音声ファイル)。パリのカフェでお茶をしながらのようで、車の騒音とか、鐘の音が聞こえたりします。フランス語ですが、ちょっとトロヴァトーレの一部"Ah! sì, ben mio"を鼻歌で歌った後、英語になってしまったところが、面白い......たくさん喋ってますが、何を言ってるのか......ライモンディの名前もあがってます.....』と紹介したところ、なんと全部日本語に訳して下さった方が.......感謝感激です......本当に嬉しい!ありがとうございます。

レコーディングの準備、指揮のモランディと

レコーディングの合間に声楽の先生リゴーザ

 インタビューは、記事になるとどうしても筆者の考え方に左右されますし、中にはかなり脚色されてしまう部分もあるのではないかと思います。その点、こういう生のインタビューは、グリゴーロのそのままが伝わってきますので、とても貴重です。またこれも訳によって微妙に違うのかも知れませんが、とても分かり易く訳して下さっていますし、いつものように熱く語るグリゴーロです。

Rencontre avec Vittorio Grigolo Par Marc Zisman/ 21 septembre 2010
(MZ = Marc Zisman インタヴュアー)

MZ: ボンジュール、ヴィットリオ・グリゴーロ!

ボンジュール。

MZ: さて、あなたはパリで、初アルバムについて語る大急ぎな道中ですが、あなたの名前での初アルバム、とてもシンプルに「イタリアン・テノール」と言う名の、この初アルバムはどんなものですか?準備段階で、これが初めてなわけですが、頭の中にプランがありましたか?何を入れたいか、入れたくないかはっきり分かっていたのですか?アルバムを構成する正確なアイディアがありましたか?作曲家ではヴェルディ、ドニゼッティ、プッチーニが入っていますが、このアルバムのコンセプトのための選択はどのようになされたのですか?

まず初めに、僕にはずっとクラシックのアルバムを作る夢がありました。小さい時から、僕はいつか全部クラシックのアルバムを作りたいと思っていました。自分、ヴィットリオに似た雰囲気のものを歌いたい、ヴィットリオを表現出来る、ヴィットリオが持っている感情を与えられる歌を歌いたいと。今、33歳になって、ヴィットリオはたくさんの色で自分を表現できるちょうど良い年になったのではないかと思うのです。10年前、23歳の時にすでに録音する機会もあったのですが、しませんでした。自分にはまだ何かが欠けていると感じたからです。芸術的なもの、技術的なもの、また人生経験も足りないと。なぜなら、人が持つことのできる最も美しい色は、人生から生まれるもの、経験から生まれるものだと思うからです。だから、33歳なら、イタリア流の絵を描くためのたくさんの色のパレットが用意できたと思います。それでこのアルバムを「イタリアン・テノール」と呼ぶことにしたんです、「フレンチ・テノール」ではなく(笑)。いや、フランスは大好きですよ、フランス語も、
(MZ: フランス語を話しますしフランスのレパートリーもありますものね。)
フランスのレパートリーも、今基礎を作っている最中です。特にアルバムを「イタリアン・テノール」と名付けたのは、僕にとってこのアルバムは入場券みたいなものなんです。ヴィットリオを知らない人達にとって、アーティストとして、個人として、知らない人達にとって、ここにはすべてがあります。過去のヴィットリオ、今のヴィットリオ、未来のヴィットリオが。どういうことかと言うと、このアルバムのために選んだアリア曲は、えーと、リスナー、聴き手 auditeurですね、失礼、聴き手に、「あぁ、これは『愛の妙薬』だ、これは…」って思ってもらえるような、
(MZ: それぞれ本当に違うキャラクターを歌っていますよね)
ええ、『愛の妙薬』、これはヴィットリオの始まりです。これを18歳の時、食堂のテーブルで歌いました。僕の最初のオペラです。それから、Spirto Gentil、レトロベルカント、若い、優しい声、若者の感情がすべて込められています。さらに、『リゴレット』、『海賊』、『ラ・ボエーム』も入れました。現在のヴィットリオ、リリックなヴィットリオですね、を知ることが出来るように。それに、必ずこうなると誓うものではありませんが、聴き手が、僕の考える未来のヴィットリオ、そこにいつか到達するであろうヴィットリオも少し知ることが出来る曲も入れました。フランスやイタリアその他のレパートリーすべての後、ヴィットリオが選ぶであろうもの。プッチーニでは、もう少しキャラクターのある『トスカ』や『マノン・レスコー』、ヴェルディでは『トロヴァトーレ』のようにもう少し強いものを。でももし声と頭がずっと管理されていれば、ヴィットリオを alive に、声とハートを持った生き生きしたヴィットリオでいることが出来て、レパートリー内に留まることが出来るでしょう。『トロヴァトーレ』はもちろん、でもさらに『トロヴァトーレ』のレパートリーで "Ah! si, ben mio" を歌うのに必要な柔かさを保つ可能性も与えてくれるでしょう。なぜなら、忘れちゃいけないのは、"Ah! si, ben mio "はとても優しい/柔かなアリアで、歌手としては、ヴェルディはそこに trucco...、trick、罠(trappe)ですね、罠を仕掛けたとも言えるからです。なぜなら
・・・ [歌う] Ah! si, ben mio ・・・
It's so beautiful! The way of this language goes out, it's the expression of, you know, and the words, you know, It's, it's so ... And then comes the hero! So the love and the fighter, you know, it's like ..... Oh! Sorry!! (笑)
……でも、分かりましたよね? 国際的に活動する歌手だと、どこにいるのか、何語で話してるのか、忘れたりすることがあるんだよね…。

MZ: この話題を取り上げてもいいですか?あなたはとても若くから歌を始めましたよね。とても若いうちに 偉大なパヴァロッティと舞台にさえ上がりましたね。その時すでに、明確に自分のやりたいこと、何をやりた いか、やりたくないか分っていたのですか?それはあなたのやりたいことだったのですか?とても小さい時、 5歳か6歳でベルカントを始めた時にもう、はっきりと自分のやりたいことが全部頭にあったのですか? それとも、段階的に、step by step で分かって来たことなのでしょうか?いつかはこうなりたい、とか…。 あなたには選択権があったのですよね、先ほど仰ってたように、10年前にオファーがあったのに録音しなかった とか。

えー、そうですね、僕はひどい子供でした(笑)。エネルギーがいっぱいで、落ち着きがなくしじゅう動き回ってる子供でした。この落ち着きのなさは常に何かチャレンジするものを見つけたいということでした。ヴィットリオとはいつも自分自身を表現したい子で、いつもやることに全力投球する子だったんです、ほんの小さい時から。だから、それが歌であろうと、他のことであろうと、レースであろうと、自分の肉体、魂、精神の限界を見つけるために全エネルギーで自分を追いたてるのが大好きでした。ほんの小さい頃からね。で、ええ、確かに最初の情熱、最初のエモーションは歌でした。なぜなら、皆がとりわけ僕の歌に反応することに気づいていたからです。
(MZ: 小さい時から活用したんですね。)
ええ、小さい時にシューベルトのアヴェ・マリアを歌いました、4歳でした、他のものも歌いました。で、歌と言うのは僕にとって、ドアを開けることに繋がる、目の前の人達の心を開くことに繋がる方法だと知ったのです。そして歌は言葉よりも早く人の魂に届くのだと。または、もう一つの理性かも知れないと。ですから、そうです、自分が将来なりたいのは歌手だとはっきり分かっていました。そして特に、自分の周囲にそれを分かってくれる人達がいることも知っていました。それを僕に認めてくれる人達が。これはとても大事なことです。なぜならそれは自分は最も正しいことをやっているのだという自信を与えてくれることですからね。

MZ: あのパヴァロッテイとの共演はまさに、思い出すと、思い返すと、思い描いていたことの具現化ですか? あなたは何か願って・・・

僕はまだ13歳で…

MZ: Dream come true でした?(笑)

や~、僕は13歳で、アメリカにツアーに行きました。28日間で30都市、24回のコンサートをしたんです。
(MZ: ヒュー!)
だから、お分かりでしょう、もう…。ローマに戻った時、うれしいことにローマ歌劇場からシスティーナ礼拝堂に連絡があったのです、子供の羊飼い役を演じるという。それは僕にとってとてもとても大事な経験でした、ヴィットリオのキャリアの中の奇跡でした、なぜなら、歌劇場に着いた時、パヴァロッティだけでなく、ダニエル・オーレンやカバイヴァンスカ等、歌劇場の音楽家と仕事をする可能性がもらえたのですから。特にダニエル・オーレンは、パヴァロッティの側にいて、いつも僕のアリアを聴いて、歌い終わると褒めてくれました。すごいことです、アドレナリンの血管注射みたいでした。

MZ: あなたは今、何人かの名前をあげましたが、歌手とはとても孤独であり、また幸運でもあるに違いないですね、なぜならオペラでは、舞台でパートナーがいるから。その行程はどのように作られて行くのですか? 出会いは、どんなふうに?時には、スケジュールのせいで、リハがあまり出来ないとか、ぶっつけ本番とか、大きな変更だとか、色々ありますね。オペラが魔法であるためには、こうでなくちゃとか、それは上手く行かないとか、声はどうでなければ、とか。これまで仕事はどんなものでしたか?ずっと、大事な出会いの毎年ですか?そして、現在、特に心に残る出会いはどれですか?すでにとてもたくさんの人と共演されてますが。

そうですね、今までの舞台での経験すべてが何かをもたらしてくれました。
(MZ: あの食堂でも?((笑)) 
そうですよ。特に、出会いで言うと…、 あ、もしかして、あの、“女性”との出会いをお知りになりたいんですか(笑)!?それとも…

MZ: 両方ですよ、両方。

両方…、えぇと…。

MZ: それとも、声の面で、時には、自分の声と完全に調和が取れてる、すごい、と思うような出会いなどはありましたか? オーケストラも一緒に、ソリストとして時に自分でも驚くようなことはありますか?

ええ。アーティストの人生とはそのような出会いのために生み出されたものです。ソロ/1人の話ではないのです。オペラとは2人であったり、3人、4人の話ですから。1人で歌うアリアだけではありません。時には それ以上を、デュオではそれ以上の何かが出来ます。1人のエネルギーより、相互作用のシナジーというプラス です。ですから、僕にとって特別な出会いというと、ローマでのアンジェラ・ゲオルギューと共演したゼフィレッリの『椿姫』です。2人のエスプリ、2人のキャラクター間のこのフィーリング、この魅力、このエモーションを感じました。特に、2人ならば、何かを伝えるのに、歌や目を使う2人は、とても美しいものです。この同じ贅沢な感覚、暗黙の了解の感覚を、コヴェントガーデンでの『マノン』でのアンナ・ネトレブコとの共演でも感じました。この協調性、このエネルギーの交換、2人ともすべて分かっていました。いつ呼吸するか、片方がエネルギーが足りない時には片方が支える、パスを出す。まるでボールを操るサッカー選手みたいなものです。分かりますよね? それから、他の男性歌手とでも、ライモンディ、プラシドとの相互作用。ライモンディは、舞台に出ただけで、ドアを開けるのも見るだけで、歩くのを見るだけで、見るべきものを舞台にもたらします。口を開く前にもうキャラクターになっています。それこそ、えーと、えーと、どう言うか、ルバーレ、steal、
(MZ: 盗む volerですね。)
そう、周りのすべてを盗まなければなりません。時には話すより見ることでより多くを学べます。すべてを… え~と、be aware、 注意深く、360度注意深くしていることで。プラシドとは、マントヴァでの『リゴレット』で共演しました。これは大変な経験で、チャレンジでさえありました。オペラを屋外で、自分たちの場所、居心地良い劇場を出てオペラを屋外でやるのは、いつもと違うものです。でもメディア的に、普段よりずっと大勢の観客とのコミュニケーションの可能性という意味で、ものすごいことです。それこそがオペラに足りないもの、オペラのためになるものです、オペラがずっと活力あるものであるために、本物の声だけでなくもっと多くの美しい大きなエモーションでコミュニーションする可能性を持つために。

MZ: そこでは演技面、俳優である面もとても重要ですね。

はい。あ、言い忘れました!ごめんなさい。忘れてました、女声との素晴らしい経験で、ルネ・フレミングと、 ジャン・ポスコのとても美しいプロダクションの『ルクレツィア・ボルジア』での共演です。いつかパリでもやれればと思っています。彼女とは、本当に母と息子のようなフィーリングがありました。とても美しい、若い 母親ですよ、これは言っておかなければ。これもとても素晴らしい経験でした。それに、もう一人のルクレツィアの話もしなければなりません。大歌手のエディタ・グルベローヴァとミュンヘンでの共演です。先程仰ったように土壇場での出演で、だから即座の恋でなければ、
(MZ: Love at first sight ですね。)
ええ、love at first sight- 一目惚れでなければなりませんでした。なぜならミュンヘンに着いた翌日の出演で、2~3時間ヴィデオを観ただけで、共演者達に会いもせずに、衣裳を着けて舞台に上がったのです。だから本番で初めて彼女に会って歌い始めたんです。マジックでした。あれはおそらく…

MZ: そういう方がお好きだったりしますか?

ええ、ええ、あれはおそらく今までやった中で最高の公演の一つだと思います。

MZ: それでは…

あ、映画の話でしたね。ごめんなさい、話題を遮ってしまって。難しい、最大のチャレンジはカメラに適応することでした。オペラ歌手であることは、30メートル先まで観客がいるということです。ですから、劇場では、目も口も大きく開けて、事柄を激しく誇張する感じですが、カメラの前ではそれではうまく行きません。やり過ぎです。いつも心臓が激しく鼓動しているようではだめなのです。カメラはすべてを映してしまいますから。今日ではHDで、口の中の昨日の歯の治療の跡さえ見えてしまいますから。だから、注意しなければなりません。でも、僕は今まで歯医者にかかったことはありませんから(笑)
(MZ: ラッキーですね。)
そうですね、ええ。それでも、この仕事をやったことは評価されると思います。マントヴァでは、カメラの前で映画レベルでもっとリアルに、もっと信ずるに足るようにするために、大げさな身振りをしないのは、劇場で用いている過度なことすべてに頼らないようにするのは、とても難しかったですね。だから他の人達、プラシドやライモンディをじっくり観察しました、彼らがどうやっているか、どう演じているかを。

MZ: 映画俳優からも、時々吸収したりしますか?そういうことを身につけるのに、歌手よりも俳優に影響を受けたこともありますか?

ええ、ええ、もちろんです。顔の筋肉をどう使ってるのか知ろうとしたりしましたよ。感情表現にとても大切ですからね。それにオペラ歌手の僕にとって、自然な顔の表情ができるようになること、同時に、自分の声で歌えるようになること、そして音の放出の仕方も同じでなければなりません。「えぇっと…」とこんな風に、大音量、声の強さの面で他の立ち位置を探したりすることは、必要じゃないんです。劇場ではないのだから、マイクを、増幅はしないけれど録音マイクを使っているのだから。こういうことを知ること、声を劇場の奥まで届くようにしなくていいと知ること、とにかくオペラ的ではなくより映画的に声を投げるということを本当に考えなければいけないんです。しかも同時にキャラクター、声、声の色は保ちながらね。だから、ええ、すべき仕事がいっぱいです。

MZ: 言語の、レパートリーの言語の話をしたいのですが、このアルバムはイタリア人作曲家に特化していますが、あなたは『ウェストサイドストーリー』も録音されてますし、さっき話したようにフランスのレパートリーも始めていらっしゃる。言語との関係はありますか?フランス語では、フランス・オペラに魅かれるのはなぜですか?

えー、そうですね、僕は半分フランス人と言えるかなと思います。小さい頃、フランス人学校に行ってたので。両親が僕をフランス人学校のコレージュ(中学)に入れたのです。だから僕の周囲には既にフランス風の生活が、この言語が、この音、母音等すべてが側にあったのです。だから、人生の、キャリアのある時点で、自分の文化の鞄に入ってるもの、僕のフランス語の知識を、自分のアクセント、強いイタリア訛ではないけれど毎日は使う 機会がないものでいくらかルーズなんですが、を使わない手はないと思ったんです。でもある役を歌う時は、歌詞を暗記しなくてはなりませんし、歌詞を変えてはいけませんから、アクセントや色々…

MZ: 歌に関してはどういうところが好きですか?

フランスのレパートリーを選択したのは、本当に本当に楽しいと思ったからです。歌いながら、声が本当に リラックスしていました。それ以上のことさえ出来ると思いました。おそらくフランスのレパートリーの作ら れ方、その作曲家達がそう書いてくれたからだと思うのですが、脱帽です。僕のフランスのレパートリーを 大きく広げて行きたいと思います。今そういうことをやっている最中です。

MZ: ドイツ語のレパートリーはどうですか?

いえ、それは…!イタリアものをやって、今はフランスのを増やしている途中ですから、ドイツのは、う~ん、 もっと年を取ったら…?1つだけやったことがありますよ、ワーグナーの「さまよえるオランダ人」の舵手で した。とても良かった。それでも、僕に向いてるものではないですね。

MZ: 今、このアルバムが発売されましたが、何かやりたいことがありますか?舞台での録音だけでなく…、何がしたいとか…。 あなたにとってCDの現在はどんなものでしょう?CDの危機とか、物質主義とか色々言われてる時代にいるわけですが。どう考えますか?

僕は(CDの)危機とは思っていません。売上の面では、オブコース、確かに危機でしょう。でも上質のディスク、CDだと分かれば、人々はそのアルバムを自分のコレクションに入れたいと思うでしょう。それは歴史の一部のようなものです。僕は欲しいと思います、コレクションの対象として。確かに今はすべてが抽象的です、OK? でも音楽とはそれ自身で既に生みだされて空気中に漂っているものなのです。僕はいつも自分は夢のセールスマンだと言っているんですよ。夢を売っていて、人々に夢見させようとしているのです。なぜなら音楽とは、触ることは出来ないけれど、常に自分の周りで、また自分の中で感じるものだからです。これは誰にとっても同じです。誰でも朝起きると音楽を耳にするし、日中も耳にするし、感覚を目覚めさせる音を耳にしない時は一瞬もありません。だから、ええと、僕は思うんです、えーと、CDを持つのはとても大事だと。僕にはとても難しかったんです、このアルバムにかける時間が充分になくて、少しストレスを感じてました。僕は control freak なので、すべてコントロールしたくて、
(MZ: 完璧主義者なのかも知れませんね)
完璧主義者ですね、ええ。 僕は絶対満足とがないんです。でもそれが良いのかも知れません、いつも渇きを感じさせてくれる規則だから、椅子で休んでいても…、前進するため、ええ、だから僕はいつも何か新しいものを、向上させることを求めています。そして、ええ、それでもとても責任重大です。CDはいつまでも残るものだからです(MZ: いかにも、いかにも。)
お店に行って「これ良くないから返品したい」と言えないものですからね。
(MZ: 他の買い物と違いますね。)
ええ、出来ません。だからこそCDと言うのは、古代ギリシャで、詩人にとって永遠の命の役目を果たすもの、ポエジーです。詩を作るのは永遠に生きるためなのです。それが僕にとってのCDです。永遠に生きるものです。

MZ: 何がしたいですか?大神殿を建てるための最初の石を置きましたが、その次の希望は?

海が見たいですよ、自分の神殿から!最初の石を置いたと言うことは、まだ綺麗なパノラマが見える高みに達して ないってことですからね。(笑)

MZ: 1年の予定はもうすでにいっぱいですか?

今年だけでなく、
(MZ: その先も?)
いっぱいです。トイレに行く予定も決まってます(笑)。いつも全部スケジュールに入ってるんです(笑)。

MZ: そういうのは、エキサイティングで、上げ潮に乗っているということですが、でも時には、基本的には音楽、歌、芸術の話なのに、でも、2年も3年も先に計画されている大量のインタヴュー、プロモ、コンサートなどがありますね。そういうことはすべて管理しなければならないのですか?少しストレスになりますか? 最後には…

何事も行き過ぎは良くないと思います。落ち着いた生活を、歌のレベルを保てるよう、準備が出来るよう、休養、 これはとても大事ですね、を取れるような生活を見い出さなければなりません。そういうことすべてを管理しなく ちゃね。自分のレベルを継続できる、自分のスタンダードに受容れ可能なカレンダーを作らなきゃだめです。プロモやインタヴューやディナーを(オペラの)舞台での出来が悪い口実にしてはいけない。終いには自分で自分の居心地が悪くなってしまうから。

MZ: その驚くようなスケジュールの中で、少しは音楽を聴く時間はありますか?CDは買いますか? コンサートに行ったりできますか?

ええ、ええ、ええ、もちろんあります!例えば、今はこのプロモを終えたところですが、僕は車が大好きで、 レースはすっと好きだったんですが、父と一緒に車を作って、その車で旅をしたんです。ローマからチューリヒへ、チューリヒからベルリンへ、ベルリンからハンブルグへと車で行きました。これからその車で戻ります。 一定の距離まで飛行機には乗りません。2000kmは車で行きます。僕にとって車は、リラックスするための、考え事をするための、音楽を聴くための手段なんです。

MZ: 旅の間、例えば何を聴きましたか?

旅の間、ええと、「サントロぺ2010」のコンピレーションに(笑)…

MZ: テクノですね?(笑)

そう、テクノの。あと、デビッド・ゲッダに、えーと、イタリアの古い歌手のフランコ・カリファーノ、イタ リアのラフ、ラマゾッティ、ヴァスコ・ロッシ、全部イタリアのです、その後は、U2。車とホテルで聴きました。それから、えーと、バリー・ホワイト、バーブラ・ストライサンドに…
MZ: みんな「声」ですね?

え?

MZ: 声、歌ですね。それにしてもたくさんの声ですね

ええ、ええ、そうですね。あと、レイ・チャールズに、フランキー…。

MZ: ずいぶんたくさんだ。ほとんど批評家ですね。

うん、そうですね。

MZ: ありがとうございました。良い旅をお祈りします。どうもありがとう、ヴィットリオ・グリゴーロ。

こちらこそありがとう。
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このインタビューはYouTubeでも聞けます → Vittorio Grigolo - 'The Italian Tenor' - Interview

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