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ドイツのテレビ"Sensationsdebüt - Der italienische Tenor Vittorio Grigolo" ドミンゴ「ヴィットリオ,まずはオペラのキャリアを築くべきだ」 [イベント、TV、ラジオ]

 11月14日(日曜日)23:05からの"Ttt - titel thesen temperamente" というドイツのテレビ番組の中で ヴィットリオ・グリゴーロの紹介番組が放送されました。撮影されたのはマントヴァの《リゴレット》のリハーサルの合間、下の写真をクリックするとビデオにリンクしています。


 来年の1月には、ドイツ・ベルリンオペラでチョーフィ、ヌッチと共演の《椿姫》に出演、並行して3月はじめまでドイツ国内(ドルトムント、ハンブルグ、ミュンヘン、ベルリン)のコンサートツァー、ドレスデンではゼンパーオペルンバルにもゲスト出演というようにドイツ中心のスケジュールになっていますので、そのためのお膳立て番組とでもいいましょうか......この番組の内容が文章に起こされていますので、いつものように同好の知人にお願いして訳してもらいました。ズービン・メータとプラシド・ドミンゴのコメントもあって、放送は5分程度の短いものですが、内容はなかなか濃いです。

回想:センセーショナルデビュー イタリア人テノール ヴィットリオ・グリゴーロ
   著者:Reinhold Jaretzky /2010.11.14


 今年6月 ロンドンのオペラハウス コヴェントガーデンではちょっとした事件があった。もともとローランド・ビラゾンとアンナ・ネトレプコが「マノン」のプログラムに載っていて、チケットはずっと前に売り切れだった。ところが、ビラゾンが病気になった。ローマっ子テノール、ヴィットリオ・グリゴーロが代役を務めた。賞賛の嵐。「新スター誕生」「久しぶりのセンセーショナルなデビュー」とイギリスのマスコミは歓声をあげた。音楽評論家のヨルグ・ケーニヒスドルフは、書いた。「アンナ・ネトレプコのパレードロールのひとつを聴くために行ったとしても、あのディーヴァではなく、ヴィットリオ・グリゴーロこそが事件だった」 すばらしいキャリアのはじまりだ。とりわけイタリア人達は熱狂している。カルーソー、ジーリ、パヴァロッティの後、数十年を経て、やっと再び、同国人が世界の頂点で歌うのを聞けるのだ。

手本はパヴァロッティ
ラテンアメリカ産テノールたちの強力なライバル:ヴィットリオ・グリゴーロ

 フェリーニの映画から飛び出したみたいな、活気あふれ、自信満々、魅惑的な、ラテンの恋人のイメージがつくられる。歌手、ヴィットリオ・グリゴーロは情熱の塊、活気に満ちたテノールだ。ささやくような声で魅惑するのを好む。批評家も観客もパヴァロッティの再来と称賛する。「ルチアーノの陽気さ、すがすがしさ、素朴さ。これらは私の手本です」とグリゴーロは言う。「イタリア的歌唱には常に同じやり方があります。そのスタイルや実際の演奏は違います。しかし、私達は、必ずしも模倣するということではなく、確かにルチアーノが歌ってきたように、自然に、純粋に歌うという点で共通しています」 とにかくルチアーノは彼の中にあふれている。いずれにせよ、スペイン、メキシコ、アルゼンチンのスターテノールたちの後に、ついに再びイタリア人が、オペラの大舞台に登場する。彼はイタリア人であり、その彼が、ロッシーニ、ヴェルディ、プッチーニといった国家的文化遺産を世界中に鳴り響かせるのだ。「ちょっと大使のように感じています。私は兵役を免除されたのですが、これは歌手としては最初のケースでした。大統領が私に直接こう言いました。『ヴィットリオ、君はその声で輝かしいイタリア文化を外国に示すのだ』」

柔らかな叙情性と劇的緊張
現代の大指揮者のひとり:ズービン・メータ

 ヴィットリオ・グリゴーロは小さいときから歌っている。彼の後援者であるルチアーノ・パヴァロッティと舞台で共演した。四半世紀前のことだ。最近では、イタリア、マントヴァでのヴェルディのオペラ「リゴレット」で、33歳のグリゴーロの公爵を体験できた。指揮はズービン・メータだ。グリゴーロとの共演者として、今や初老の男、プラシド・ドミンゴが歌った。有名なテノール役をリゴレットというバリトン役と交換したのだ。「公爵はとても難しい役です。プラシド自身『私は公爵の役では、常に困難に直面したものだ。だから、この役を君に任せるよ』と言った」とヴィットリオ・グリゴーロ。グリゴーロはほとんど完璧に歌った。彼はビロードのように柔らかく叙情的に、だが同時に劇的に歌うことができる。そして、彼は天性の俳優だ。ズービン・メータは言う。「彼はすぐにとても有名になる。彼は歌う音楽家だ。自分のリズムを見事に理解している。発音がいい。要求しなくても、期待通りのニュアンスをつける。彼にとってはごく自然なことなのだ」

「君はオペラでキャリアを築くのだ」
ヴィットリオ・グリゴーロについては確信している:スターテノール、プラシド・ドミンゴ

 「彼は容易にスターになる男だ。彼にはすばらしい表現力とすばらしい声がある。私は彼を大いに応援してきた。安易だと思うのは、彼がクロスオーバーをやるべきか、オペラをやるべきか、少々不確かなところがあることだ。あえて言わせてもらえば、『ヴィットリオ、君には間違いなく、オペラをやる才能がある。オペラでキャリアを築くのだ。その後でも、君のやりたいことはできる。まずはオペラのキャリアを築くべきだ』 目下、グリゴーロのイタリアオペラのレコードが発売されている。「私にとって、これらのアリアはとても純粋な感情表現です。情熱と愛を表現しています。私は実際憂鬱症でロマンチックな人間です。以前、こんな事を言った人がいます。『君の声は、絶え間なく泣いているように聞こえる』 これがきっかけで、微笑むことを始めました。最後には克服しました。つまり、泣くのと同じように微笑むことができるようになりました」
Rückschau: Sensationsdebüt - Der italienische Tenor Vittorio Grigolo/Autor: Reinhold Jaretzky/Sendeanstalt und Sendedatum: MDR, Sonntag, 14. November 2010

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