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《IL CORSARO》レビュー:声は若きコレッリ、外見はホンブルク皇子のジェラール・フィリップ [ヴェルディIl Corsaro 海賊]

◎IL CORSAROの公演は一旦中断、次回は29日です。15日にはシャンゼリゼで《ボエーム》を歌います。
もう一つレポートが出ました.... 「.....声の力強さにもかかわらず、すばらしく洗練された弱音歌唱が繰り返し聴けた。すばらしい!」もう少し詳しい内容を本文に追記しました。(2009.12.8)

◎もう1件.... 「ヴィットリオ・グリゴーロはすばらしく美しい、明るい響きの力強い声でセンセーショナルな成功をおさめ.....自然な表現性の強い人物造型で際立っていた....大掛かりな舞台装置と良い配役のためだけでチューリヒに行く価値がある....」もう少し詳しい内容を本文に追記しました。(2009.12.1)

◎レビューを2件追記しました。グリゴーロに関して共通しているのは、美しい響きの声と情熱的で興奮を呼ぶ舞台...ということでしょうか。(2009.11.27)


 いろいろレビューが出ています。演出舞台も絶賛されているようで公演は大成功、コッラードのヴィットリオ・グリゴーロも好調、好評.....この役は、マイナーなオペラですので、もともとレパートリーではありませんでしたが、今年の3月頃に急にこのオペラを歌う話しが持ち上がって、勉強をはじめたようです。5月末の雑誌のインタビューで、『チューリヒで、はじめて《Il Corsaro 海賊》をやるのを、もの凄く楽しみにしています。これがうまくいったら、一生海賊だけやってもいいです。』と意欲満々で語っています。どうやら大成功のようですから、このプロダクションをひっさげて世界ツァーなんてのもいいんじゃないでしょうか。

Für Verdi die Bühne geflutet
Von Thomas Meyer. Aktualisiert am 24.11.2009
Ein junges Team frischt am Opernhaus Zürich mit viel Wasser die Verdi-Rarität «Il Corsaro» auf.

ヴィットリオ・グリゴーロはコッラード役になりきっていた。活発で情熱的だった。そのとき、あまりにも行き過ぎたテノール的軽薄さに陥らないように注意すべきだ。実際、彼は元気一杯の海賊ではない。むしろ、葛藤するハムレット的芸術家タイプである。彼は二人の強い女に囲まれている。エレーナ・モシュクの感情豊なメドーラ、苦悩し死を選ぶ、エネルギッシュな表現。正反対の、最後にはより傷つくが、まだ若くて希望にあふれたカルメン・ジャンナタッシオのグルナーラ。この三人の歌手たちが、上演を支配した。


Metaphorische Wasserspiele
Marianne Zelger-Vogt
24. November 2009, Neue Zürcher Zeitung
Erstaufführung von Giuseppe Verdis «Corsaro» im Zürcher Opernhau
s

舞台全体が刺激的だったが、この上演は何と言っても歌手がよかった。もちろんその中心は当然ながら、憎しみと感傷的な厭世観に蝕まれた反逆者、社会から追放された無法者であるコッラードだ。ヴィットリオ・グリゴーロは文字通りこの役に没入していた。そのテノールは最初から恍惚状態だった。はじめは圧倒的だった。しかし、長い間には結局、疲労する危険は、歌手だけではなく、聴き手にもある。であるから、グリゴーロの非凡な、ずば抜けて力強く、高音の確かな声は、もっぱらほとんどフォルテとフォルテッシモで、ひたすら高圧的な緊迫状態で、微妙な表現上の変化がなかった。

Wasser, Licht und starke Stimmen
Publiziert am 24.11.2009

歌手の輝き
ヴィットリオ・グリゴーロは 朗々とした、消耗しないテノールで、印象的なコルサロを際立たせた。彼は金属的輝きと抒情的艶やかさをやすやすと結びつけることができる。力いっぱいの鋭角的な響き、時折見せる、高揚した、だかはしゃいだような演技、外見の良さなどが、彼を人気者にしている。囚われ人グルナーラ役のカルメン・ジャンナタッシオは、鋭い描写の抑揚のある非の打ち所のないソプラノと感情表現の深さで魅了した。それに対して、陰気なメドーラ役のエレーナ・モシュクは、非の打ち所のないコロラトゥーラ歌手であるにもかかわらず、あまり精彩がなかった。

ジェラール・フィリップ:ホンブルクの皇子

Der Pirat ist ein Dichter
Mittwoch, 25. November 2009

ヴィットリオ・グリゴーロの声は若きコレッリ、外見はホンブルクの皇子Prinz von Homburgに扮したジェラール・フィリップ Gérard Philippesを連想させる。

オランジュ音楽祭のディレクターで、アヴィニヨン歌劇場の芸術相談役のRaymond Duffautも「ヴィットリオ・グリゴーロは、オペラ界のジェラール・フィリップ....」と言っています。

Il Corsaro @ Opernhaus
ヴィットリオ・グリゴーロは、素晴らしく見える。大きな声でコッラードを歌うが、叙情的印象が足りない。

2009.11.27追記分
Exhumation aquatique
音楽的にヴィットリオ・グリゴーロは、理想的なコルサロに迫っている。それは、激しさと必要な情熱をもった声と共に、いつも通りの尽きることのないエネルギーと舞台上での惜しみなく全力を発揮するサービス精神の旺盛さがある。

Beifall für Verdis selten gespielten „Korsaren“ im Opernhaus Zürich
あの「ルチア」でチューリヒに初登場したヴィットリオ・グリゴーロは、今は、コルサロ役をやっている。前と同様に、美しい響きのテノールの声で歌われる、感情的な高ぶりに支配された、オペラ的気分に満ちたコルサロだ。

2009.12.1追記分:
Spektakuläre Schweizerische Erstaufführung einer Rarität von Giuseppe Verdi
・歌手に配慮した指揮
この重要なプレミエの主な問題は、オーケストラの不一致、全員がロールデビューの出演者にあった。はじまるとさまざまなことに気がつく。テンポのずれ、力任せに推す(Grigolo)、重い(Scorsin)、息が短い(Mosuc)、声の輝き不足(Giannattasio)、ビブラートがきつい(Pons)問題はすべての出演者に見られた。鏡が声を増幅したので、この舞台装置は、声にはとても好ましかった。

・際立っていたヴィットリオ・グリゴーロとカルメン・ジャンナタッシオ
主役のグリゴーロは、コッラード として、すばらしく美しい、明るい響きの力強い声でセンセーショナルな成功をおさめた。また、大げさな演技は影をひそめ、自然な表現性の強い人物造型だった。目も耳も楽しんだ。当然ながら自信にあふれた態度でカーテンの前に進みでて、合唱団の前の水の中にまかれた花をひとつ観客に投げた。

・スペクタクルな舞台
どちらかといえば保守的なチューリヒの観客は、関係者全員に拍手喝采だった。中でも、グリゴーロとジャンナタッシオ、それから、この地の大物歌手であるエレーナ・モシュク。そして、演出陣にもブーイングはほとんどなかった。2009年11月22日、プレミエの直前まで、チケットは完売ではなかった。プレミエの値段が、最高額で320スイスフランだったのが原因だと思われる。
不当ながら上演されることが比較的珍しいオペラで、最近では パルマ(2004)、ブッセート(2008)、ブカレスト(2008/09)であった。結論として、珍しく上演されるCorsaroは、もう大掛かりな舞台装置と良い配役のためだけで、チューリヒに行く価値がある。

2009.12.8追記分:
Welt der Oper:Zürich: IL CORSARO, 22.11.09Vittorio Grigolo は ドン・キショットを思わせるアンチヒーローCorrado、すなわち冒険へと突き進むバイロン卿だ。善のために戦いたいと思いながらも、その臆病さ故に、結局は挫折する。死ぬこともできず、愛も遂げられない。Grigoloは、この役を信じられないほど、輝かしく力強い声で遂行する。強烈な劇的爆発(地下牢の場面での絶望感の激しい表現)も回避しない。そして、声の力強さにもかかわらず、すばらしく洗練された弱音歌唱が繰り返し聴けた。すばらしい!

★チューリヒ歌劇場《IL CORSARO》
2009年11月22,24,26,28日/12月1,3,6,29日/2010年1月1日

指揮:Eivind Gullberg Jensen/演出:Damiano Michieletto/舞台:Paolo Fantin/衣装:Carla Teti
ソリスト:Carmen Giannattasio (Gulnara)/Elena Mosuc (Medora)/Vittorio Grigolo (Corrado)/Giuseppe Scorsin (Giovanni)/Juan Pons (Seid)/Simon Wallfisch (Eunuco)/Pablo Ricardo Bemsch (un schiavo)/北嶋 信也 Shinya Kitajima (Selimo)

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