ジュセッペ・フィリアノーティとヴィットリオ・グリゴーロ:過去の公演の接点 [その他]
渦中の人、フィリアノーティですが、グリゴーロのオペラの過去の公演記録を見て行くと、同じイタリア人同士ですのでイタリア国内の劇場でのダブルキャスト(グリゴーロが第二キャスト)、あるいは共演(グリゴーロ端役)が目につきます。このことについて、babyfairy さんが、「2イタリアンテノール」という興味深い声についての比較記事を書いていらっしゃいますので、便乗して、二人が関係している過去の公演記録をまとめてみます。
その前に、今が旬の人気若手テノールというと、
★カウフマン Jonas Kaufmann(1969-ミュンヘン)
★ビリャソン Rolando Villazón(1972-メキシコ)
★フィリアノーティGiuseppe filianoti(1974-イタリア)
★カレイヤ Joseph Calleja(1978.1.22-マルタ)
★メーリ Francesco Meli(1980-イタリア)
.....と誰かが書いていた受け売りですが、グリゴーロ(1977.2.19)が抜けているじゃない....と思う人は、多分あまりいないでしょうね。グリゴーロは超人気若手テノールですが、「知ったかぶり」のオペラ通の間では知名度が異常に低い。やっぱり、年間3本のオペラでは仕方がないかもしれませんね。他の歌手は6〜10本ですから。
さて、フィリアノーティはイタリア出身で、しかも年もグリゴーロと2、3才しか違わない。イタリア人がプロのオペラ歌手を目指す場合は、イタリア国内の地方劇場でキャリアを築いて行くことになるわけですから、そこで出会うのは当然かもしれません。
ところで、「渦中の人フィリアノーティ」と書きましたが、2008年スカラ座開幕公演の《ドン・カルロ》で、第1キャストとして、7日のプレミエ歌うはずだったフィリアノーティ、なんだかよくわからない理由で第2キャストに降格、フィリアノーティ自身が、それに抗議する形で、全公演キャンセルしました。この件については、本館で「またまた事件〜スカラ座開幕公演《ドン・カルロ》:降板させられたフィリアノーティ」という記事にだいたいの経緯が書いてあります。また、フィリアノーティがスカラ座のオファーを受けたことによって、グリゴーロにも影響がありました。つまり、WNOの《ルクレツィア・ボルジア》に出演することになったわけですが、こちらは大成功で明暗分ける結果になってしまいました。
スカラ座のドン・カルロが決まってないのは、1月の4,8,11,15日ですが、まさか、グリゴーロにまたお鉢が回ってくるということはないとおもいますが、可能性ゼロではない....この時期グリゴーロは、スペインのバレンシアで2月2日からの《ファウスト》に向けて、リハーサル中ですが、抜け出せなくもないし、チューリッヒ歌劇場のペレイラ氏に、「グリゴーロは、のみこみが早い」とお墨付きをもらっていますし、実際に、チューリヒで《ルチア》と中央駅の《椿姫》を同時進行でやるという離れ業を見事にやってのけてますので、できなくはないと思います。まあ、あり得ないでしょうけど、スカラ座は一体全体誰を連れて来るんでしょうね。(ニールのHPを見たら、4日と15日は歌うつもりのようです )
★フィリアノーティとグリゴーロ二人が関係した公演:
★2001年4月4〜13日:ボローニャ歌劇場 ベニーニ指揮《一日だけの王様》イヴレーア伯爵
フィリアノーティは主要キャストのエドアルド
★2001年4月22日 :ピアチェンツァ・Municipal歌劇場 ベニーニ指揮《一日だけの王様》イヴレーア伯爵
フィリアノーティは主要キャストのエドアルド
★2001年11月:ボローニャ歌劇場 ガッティ指揮《ファルスタッフ》フェントン
フィリアノーティは第1キャストのフェントン
★2004年6月17〜24日 パレルモ:ローマ歌劇場のプロダクション《愛の妙薬》ネモリーノ
フィリアノーティはAキャストのネモリーノ、グリゴーロはすでにローマ歌劇場で同プロダクションのネモリーノを歌って絶賛されているので、これは第1とか第2ではなく、ダブルキャストでしょうね。
★2004年10月18日〜:モーツアルト作曲《イドメネオ》アルバーチェ
フィリアノーティはタイトル・ロールのイドメネオ
★2007年4月20〜5月3日:ローマ歌劇場《椿姫》アルフレード
フィリアノーティが腹膜炎でキャンセルしたためグリゴーロが、プレミエ歌手の座を射止める。
その時の経緯は、2007年ローマ、ゼッフィレッリ《椿姫》のドタバタ舞台裏:ゲオルギューの相手役は...★VideoClip
★右上のグリゴーロがピアノを弾いている写真は、ゼッフィレッリのローマの邸宅で、ローマ歌劇場の《椿姫》の打ち上げパーティーの時の写真のようです。この無精髭は、アルフレード役のため。ゼッフィレッリに「付け髭を用意するから...」と言われたが、「自前でいきますから、いりません...」と断ったと話しをしてました。
★2008年11月1〜17日:ワシントン・ナショナル・オペラ《ルクレツィア・ボルジア》ジェンナーロ
シーズン発表ではフィリアノーティが歌うことになっていたが、彼がスカラ座の《ドン・カルロ》に出演することになったので、ドミンゴがグリゴーロに白羽の矢を立てた。グリゴーロは、ジュネーヴ大劇場の《ホフマン物語》をキャンセルしての出演となった。
ワシントンのジェンナーロはヴィットリオ・グリゴーロに...オペラ+ポップス歌手☆13才ボーイソプラノMP3
※フィリアノーティとは関係ありませんが、2008年3月のスカラ座《ジャンニ・スキッキ》も突然のオファーを受けたものです。
本館でフィリアノーティについての関連記事:
《ジャンニ・スキッキ》リヌッチョのアリア「フィレンツェは花咲く木のような」☆MP3 VideoClip
「個人的には声もあり歌もナチュラルなフィリアノーティに好感を持ちました。」というコメントに、「年末のドン・カルロ期待できそうですね。」なんて書いてますよ.....
2007年ローマ、ゼッフィレッリ《椿姫》のドタバタ舞台裏:ゲオルギューの相手役は...★VideoClip
この時は、本当の病気(腹膜炎で救急車騒動)でフィリアノーティがアルフレードをキャンセル、3人のテノールがプレミエ歌手を競い。グリゴーロが勝ったということです。
ワシントンのジェンナーロはヴィットリオ・グリゴーロに...オペラ+ポップス歌手MP3
マルセロ・アルバレス、天下のスカラ座を袖に.....
この件で、フィリアノーティにドン・カルロのお鉢が廻ってきたということです。
その前に、今が旬の人気若手テノールというと、
★カウフマン Jonas Kaufmann(1969-ミュンヘン)
★ビリャソン Rolando Villazón(1972-メキシコ)
★フィリアノーティGiuseppe filianoti(1974-イタリア)
★カレイヤ Joseph Calleja(1978.1.22-マルタ)
★メーリ Francesco Meli(1980-イタリア)
.....と誰かが書いていた受け売りですが、グリゴーロ(1977.2.19)が抜けているじゃない....と思う人は、多分あまりいないでしょうね。グリゴーロは超人気若手テノールですが、「知ったかぶり」のオペラ通の間では知名度が異常に低い。やっぱり、年間3本のオペラでは仕方がないかもしれませんね。他の歌手は6〜10本ですから。
さて、フィリアノーティはイタリア出身で、しかも年もグリゴーロと2、3才しか違わない。イタリア人がプロのオペラ歌手を目指す場合は、イタリア国内の地方劇場でキャリアを築いて行くことになるわけですから、そこで出会うのは当然かもしれません。
ところで、「渦中の人フィリアノーティ」と書きましたが、2008年スカラ座開幕公演の《ドン・カルロ》で、第1キャストとして、7日のプレミエ歌うはずだったフィリアノーティ、なんだかよくわからない理由で第2キャストに降格、フィリアノーティ自身が、それに抗議する形で、全公演キャンセルしました。この件については、本館で「またまた事件〜スカラ座開幕公演《ドン・カルロ》:降板させられたフィリアノーティ」という記事にだいたいの経緯が書いてあります。また、フィリアノーティがスカラ座のオファーを受けたことによって、グリゴーロにも影響がありました。つまり、WNOの《ルクレツィア・ボルジア》に出演することになったわけですが、こちらは大成功で明暗分ける結果になってしまいました。
スカラ座のドン・カルロが決まってないのは、1月の
★フィリアノーティとグリゴーロ二人が関係した公演:
★2001年4月4〜13日:ボローニャ歌劇場 ベニーニ指揮《一日だけの王様》イヴレーア伯爵
フィリアノーティは主要キャストのエドアルド
★2001年4月22日 :ピアチェンツァ・Municipal歌劇場 ベニーニ指揮《一日だけの王様》イヴレーア伯爵
フィリアノーティは主要キャストのエドアルド
★2001年11月:ボローニャ歌劇場 ガッティ指揮《ファルスタッフ》フェントン
フィリアノーティは第1キャストのフェントン
★2004年6月17〜24日 パレルモ:ローマ歌劇場のプロダクション《愛の妙薬》ネモリーノ
フィリアノーティはAキャストのネモリーノ、グリゴーロはすでにローマ歌劇場で同プロダクションのネモリーノを歌って絶賛されているので、これは第1とか第2ではなく、ダブルキャストでしょうね。
★2004年10月18日〜:モーツアルト作曲《イドメネオ》アルバーチェ
フィリアノーティはタイトル・ロールのイドメネオ
★2007年4月20〜5月3日:ローマ歌劇場《椿姫》アルフレード
フィリアノーティが腹膜炎でキャンセルしたためグリゴーロが、プレミエ歌手の座を射止める。
その時の経緯は、2007年ローマ、ゼッフィレッリ《椿姫》のドタバタ舞台裏:ゲオルギューの相手役は...★VideoClip
★右上のグリゴーロがピアノを弾いている写真は、ゼッフィレッリのローマの邸宅で、ローマ歌劇場の《椿姫》の打ち上げパーティーの時の写真のようです。この無精髭は、アルフレード役のため。ゼッフィレッリに「付け髭を用意するから...」と言われたが、「自前でいきますから、いりません...」と断ったと話しをしてました。
★2008年11月1〜17日:ワシントン・ナショナル・オペラ《ルクレツィア・ボルジア》ジェンナーロ
シーズン発表ではフィリアノーティが歌うことになっていたが、彼がスカラ座の《ドン・カルロ》に出演することになったので、ドミンゴがグリゴーロに白羽の矢を立てた。グリゴーロは、ジュネーヴ大劇場の《ホフマン物語》をキャンセルしての出演となった。
ワシントンのジェンナーロはヴィットリオ・グリゴーロに...オペラ+ポップス歌手☆13才ボーイソプラノMP3
※フィリアノーティとは関係ありませんが、2008年3月のスカラ座《ジャンニ・スキッキ》も突然のオファーを受けたものです。
本館でフィリアノーティについての関連記事:
《ジャンニ・スキッキ》リヌッチョのアリア「フィレンツェは花咲く木のような」☆MP3 VideoClip
「個人的には声もあり歌もナチュラルなフィリアノーティに好感を持ちました。」というコメントに、「年末のドン・カルロ期待できそうですね。」なんて書いてますよ.....
2007年ローマ、ゼッフィレッリ《椿姫》のドタバタ舞台裏:ゲオルギューの相手役は...★VideoClip
この時は、本当の病気(腹膜炎で救急車騒動)でフィリアノーティがアルフレードをキャンセル、3人のテノールがプレミエ歌手を競い。グリゴーロが勝ったということです。
ワシントンのジェンナーロはヴィットリオ・グリゴーロに...オペラ+ポップス歌手MP3
マルセロ・アルバレス、天下のスカラ座を袖に.....
この件で、フィリアノーティにドン・カルロのお鉢が廻ってきたということです。
タグ:フィリアノーティ
なるほど、こうしてまとめて頂くと改めて、この二人、良くA/Bキャスト、或いは共演者として一緒に仕事していたんですね。やっぱり今回の代役はあのうどの大木じゃなくて、グリゴーロ君にして欲しかったです。でも同時にこの二人、今回は本当に運命の明暗がくっきり別れましたね。
グリゴーロ君の方はポペラも歌ってるから、オペラで食べて行かなくても良い、年間3本しか歌わないから『知ったかぶりのオペラファン』の間では無名でも、喉の為には良いでしょうし、お金や義理の為に無理な仕事を引き受ける心配も無いですね。
ドン・カルロの役も、ジュネーヴで歌ったグリゴーロ君の方は大好評のレビュー、感想が出たし、ラジオでも放送されましたが、フィリアノーティの方は批評は無いみたいだし、録音/映像もどうやら本人は持っている(ご本人が送ってくれるそうですので、今待っている所です)らしいけど、公には出なかったんじゃないかと思います。
二人ともリリック・テノールだけど、グリゴーロ君の方が喉が強く、想像ですが声量もあるんじゃないでしょうか。だから、ヴェルディだって余裕で歌える(特にドン・カルロ)。アクートが安定していてリズム感も良いから、将来は是非、マンリーコも歌って欲しいです。
>ニールのHPを見たら、4日と15日は歌うつもりのようです
どこまでずうずうしいんでしょうね、あのメタボは。あいつのドン・カルロをラジオで聴いた後、耳直し(口直しならぬ)にもう5回くらい繰り返してグリゴーロ君の『ドン・カルロ』を聴いてますよ。これ以上公害をふりまくのは止めて欲しいです。あのジュネーヴの『ドン・カルロ』はグリゴーロ君以外は若手/無名歌手だけど、総合的にバランス良く、全幕通しで聴いても聴きごたえがあります。
by babyfairy (2008-12-12 22:21)
babyfairyさん
グリゴーロ君は、年間3本だと、オペラだ!オペラだ!嬉しいなってかんじなんでしょうね。
>ニールのHPを見たら、4日と15日は歌うつもりのようです
もう、ここまできたら、全部、お歌いあそばせ、ですよ。8と11日は、ロンドンでヴェルディのレクイエムを歌うからスカラ座には出られんのよ...ってことのようです。スカラ座も地に落ちたもんですわ。
ニールは、ヴェルディのレクイエムのギネスに挑戦してるのか、すでに175回以上歌ってるって言うのが自慢らしい。それにしては、私は聞いたことないですけどね。オペラのオファーは、ちょぼちょぼで、これで家族がいたとしたら、養えるのかな....ギャラは絶対安いはずだから。
まあ、スカラ座で歌って、世界に配信されて、DVDも出るだろうけど、これでオファーが増えるということはないでしょうね。
でも、クリスマス休暇は、出身地でお祭り騒ぎかも.....
by keyaki (2008-12-13 00:16)
この一連の騒ぎの中で余り触れられてませんが、大審問官のマッティ・サルミネンも病気で降板、第二キャストに降格しています。風邪との事ですが、どこ迄本当だか。
結局、フィリアノーティの能力不足をやり玉に挙げつつ、実際にはここ数ヶ月の世界的不況、またベルスコニーニの歌劇場への予算削減等を受けて、何人も有名歌手にギャラを払うのがもったいないからじゃないんですか?でも一応、リハまではやって、有名歌手の名前を並べておけばチケットは売れるだろう、と言う策略。
でも、それのダシに使うのは、サルミネンとか、あるいは2年前のアラーニャみたいな外国人ですよね。フルラネットやチェドリンスみたいにこれからも出演して欲しい『身内』の歌手ではなくて。ミラネーゼにとっては、カラブリア出身のフィリアノーティはいくらスカラ座の学校出身であっても所詮は外国人も同様なんですよね。しかも、彼は最近、声の調子に波があって、理由付けがし易い状態にあったし・・・推測でしかありませんが、なんかきな臭いものを感じます。
by babyfairy (2008-12-13 07:09)
babyfairyさん
修道僧がトリプルキャストで、カルロが一人なんて、もうめちゃくちゃ。
イタリアの南北問題ね。ムーティはナポリ出身だけどガッティはミラノでしたね。
>カラブリア出身のフィリアノーティはいくらスカラ座の学校出身であっても所詮は外国人も同様
そうねぇ、イタリアも統一されたのは最近ですからね。グリゴーロ君なんか、ローマ育ちでもトスカーナ人って書かれますね。
日本の、学閥みたいなかんじで固まるってのはあるかもしれませんね。
まあ、今回の件、病気じゃないのに無理矢理降ろしたってのがバレちゃったんで、裏があるような感じになってますが、もしかしたら、劇場側は、気楽に考えてたのかも.....歌手は言いなりになるし、プライドなんかないと思ってたのかも。
by keyaki (2008-12-13 15:09)
人気テノール5人、それぞれリンクや画像サイトで視聴してみました。持ち味が違って面白かったです。
私の好みもありますが、グリゴーロはこの5人より傑出していると思います。リリックで芯に強さのある声ですし、容姿と演技力は言わずもがな。知名度の違い(たぶん日本だけ?)は、劇場出演の頻度が理由でしょうか。
ニールは1月も歌っちゃうんですねぇ。彼にとっては我が世の春、この世をば我が世とぞ思う望月のかけたることもなしと思えば、こんな心境でしょうか。
ヴェルディのレクイエムがあんな胴間声で間に合う曲だったとは、知りませんでした。
いとも簡単お気楽に歌手と観客を蔑ろにする劇場にはふさわしいのかもしれませんね。
by ペーターのファンです。 (2008-12-13 17:33)
ペーターのファンさん
グリゴーロも含めてこの5人、けっこう個性があると思います。
カウフマンも若い若いと思っていたら、もう中年じゃないですか。この年まで、活躍しているということは、重要なんですよね。途中で、仕事がなくてやめる歌手とかも多いでしょうから。
by keyaki (2008-12-14 13:11)