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ミラノのギャラリーでグリゴーロの作品を展示:Misael New Space Opening2008.11.13〜 [オペラ以外の分野(ポップス、絵画)]

 ヴィットリオ・グリゴーロは、WNOの《ルクレツィア・ボルジア》に出演中ですが、11 月13日からMisaelというミラノのギャラリーで彼のアート(絵)が展示される...というお知らせが、HPに掲載されました。
 このアート・イヴェントのテーマは《Menzogne 虚偽》、参加アーティストは、William Xerra, Florencia Martinez, Vittorio Grigolo, Andy。
※イタリアのアートのブログの紹介記事:Le "Menzogne" di Misael

★プレスリリースの紹介文:
Spazio Mizaelのオープニングは、《Menzogne 虚偽》を展示する。そこで、アートは今日の社会の深刻な問題を表現するものとなる。つまり、互いに嘘を付き合う社会。口からは嘘があふれ出る。だれもが自分の内面のたくらみを隠している(詩編12)。嘘は、あらゆるところにある。マスメディアの中にも、社会にも、日常生活の中にも、愛の中にも見つかる。子どもでさえ例外ではない。だが、子どもなら嘘もおもしろい。まったく同じところから生じていても微笑ましい。

★ヴィットリオ・グリゴーロの作品の解説:
 音楽、アート、人生の様々な断面は、世界的に有名なオペラ歌手ヴィットリオ・グリゴーロの仕事の中で交錯している。彼はペインティングという手段で、成功への道程で直面した嘘と偽りを描いている。Oltre la Rete(格子の向こう)というのがこの作品の題名である。(Reteは、「格子、網」ですが、比喩的に「わな」という意味もある)
 この作品は、彼が信頼した集団が、彼の「真の自我」を尊重することなく、彼をだまして“agreements in….blood”にサインさせて、最初のアルバム"In the Hands of Love (2006) "を成功させようとする歌手を個人的に傷つけた虚偽欺瞞から生まれた。

 この解説の絵は、→Oltre la Rete(格子の向こう)です。解説の通りですが、パラパラ置かれている、ちぎった写真は、彼のアルバムのジャケットの写真です。ご覧のように他にも数点,同様の手法のアートを出品しています。

 彼を傷つけた集団は、『イル・ディーヴォ Il Divo』結成に関わった人たちのことでしょうね。私が集めた情報では、ボチェッリのような歌を歌う男4人組のグループを作って、クロス・オーバーのジャンルで売り出そうとしていたサイモン・コーウェルの目にとまったのが、ヴィットリオ・グリゴーロ、恐らく2003年末には、『イル・ディーヴォ Il Divo』のメンバーとして準備段階に入っていたと思います。しかし、お互いに行き違いがあったようで、ご存知のように、グリゴーロは、メンバーには残りませんでした。
 このグリゴーロの告発ともとれる作品に対するレビューは、オスカー・ワイルドの『わずかばかりの誠実さは危険であり、度を越した誠実さは致命的である。』という言葉で結ばれています。Ivan Quaroni "Che cos’è la verità?" 
 この件は、第三者的に見れば、彼にとっては、「自分からオペラをとったら何もない...僕のキャリアはオペラだけ...」ということを再認識する出来事だった...とも考えられます。そして、お仕着せではなく、自分のアルバムを出す切っ掛けにもなったわけですから、振り返って見れば、彼にとっては、いい経験だったとも言えるのかも知れません。 それに、グリゴーロは9歳から、ひたすらソリストで特別扱いでやってきたわけですから、いくらお金を積まれても、イル・ディーヴォのようなグループは無理でしょう。ですから、最初にメンバーにと言われた時に、自分がソリストであとの3人はバックコーラスだよね....くらいの認識しかなかったような気もします。
 『経験とは、誰もが自分の失敗につける名前のことである。』というオスカー・ワイルドの言葉もあるんですね。失敗してこそ世の中の現実を知るということですし、『失敗は成功の母』という有名な言葉もありますし.....。

参考:この件について、一般には、下記のような記述がされています。ちなみに、イル・ディーヴォ(Il Divo)は、2004年11月、イギリスでデビューして、今までに4枚のアルバムを出しています。
★After almost becoming a member of Il Divo, abandoned after clashes with Simon Cowell, he recorded a solo album, In the Hands of Love, in the genre he calls "popera."
★Word about Vittorio's talents quickly reached Simon Cowell, who was so impressed by Vittorio that he wanted him to be a member of Il Divo. Vittorio declined Cowell's offer in order to establish himself as a solo artist, while still pursuing his passion for opera. While "popera" artists proliferate left and right, Vittorio has been recognized as uniquely motivated whose ambition is matched only by his talent.


今まで紹介したインタビュー記事でのグリゴーロの発言のまとめ:
僕のアリアを聞かせてあげよう.......ボチェッリやワトソンとは一線を画す
グリゴーロはレコーディングとツアーの契約で、オペラを継続することを認めさせることにこだわった。サイモン・コーウェルによって集められたポップ=オペラグループ、イル・ディーヴォへの参加の申し入れを断った。オペラのテノール歌手としての彼の将来を危うくするとの懸念があったからだ
若いオペラスター・グリゴーロ、シカゴ・デビューをマエストロ(パヴァロッティ)に捧げる
周知のように、「アメリカのアイドル」の大黒柱であるサイモン・コーウェルは、イル・ディーヴォのために歌手のオーディションをやっていたとき、グリゴーロをグループに誘った。「だけど、僕はオペラ公演を続けたかったのでイル・ディーヴォには参加しないことに決めました。彼らはオペラという文化を理解していませんし、正しいテクニックで歌うことはできません
ヴィットリオ・グリゴーロ単独でポップス界へ(2006.2.26)
一人っ子として大いに愛され、自信満々な育ち方をした。「母は、ぼくが何かとっても特別な人になると、常に思っていた」 これもサイモン・コーウェルの話に飛びつかなかった一因。
「サイモンの話は、とっても甘い話だったけど、オペラ界を去るのは時期尚早だと思った。大テノールになれないからポップスターになったって思われたくない」というわけで、ヴィットリオは自分の立場を固守して、ポリドールとの契約で、年三つのオペラ出演を認めさせた。
「僕はイギリスでソロスターになるという機会が持てた。イギリスは音楽にとって最高の国だ。イル・ディーヴォは四人で、僕は一人だ。僕は自分の音楽ができる。自分のスタイル、自分の生き方だ。こういう立場を生かしていきたい。」
若い虎がパヴァロッティの王冠を獲得(2006.3.5)
彼は、XFactorの審査員サイモン・コーウェルが結成した、1000万枚を売り上げるポップオペラグループ、イル・ディーヴォへの参加も求められたが、オペラ界での彼の名声を守るために、この機会をしりぞけた。
ロッシーニ・ガラ(シドニー)前日のインタビュー(2007.5.16)
2003年、この若いテノールは、著名なプロデューサー、サイモン・コーウェル創設による" イル・ディーヴォ"の結成メンバーの一人になったが、結局は、ポリドール・レコードとの数百万ドルの契約にサインして、" イル・ディーヴォ"には加わらなかった。

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コメント 2

babyfairy

なるほど、やっぱりHPのゲストブックに書き込まれた内容とに通った題材なんですね>グリゴーロ君の作品

芸術家ってどんなに外見は精悍そうに見えても意外と繊細な神経の持ち主が多いから、イル・ディーヴォとの一件は相当堪えたのかもしれません。

でも、イル・ディーヴォに加わらなくても、ポップス界にデビューしたグリゴーロ君が『イバラの道』を歩んでいる事には変わりないですね。

オペラのレビューでも、純粋主義者から『ポップスの方が似合っているから、そっちに専念した方が良い』なんて嫌みな事も書かれてしまう。 

しかし、マジョリティは好意的だから、多少技巧的に粗っぽい所があるのは今後に期待するとしても、基本的にスター・オペラ歌手の才能やカリスマは絶対あるでしょう。私がこうした純粋主義者に逆に聞きたいのは、現在、他により有望な若手テノールがいるなら教えて欲しいと言う事です。
by babyfairy (2008-11-14 06:56) 

keyaki

babyfairyさん
なんだかんだ言われるのも実力と人気のある証拠でしょう。テクニックってなにか分かりませんが、テクニックがなければあれだけ歌えませんし、観客を感動させることはできないと思います。

>現在、他により有望な若手テノールがいるなら教えて欲しい
いないと思いますヨ。いたら私たちが知っているはずですもの。
たとえば、他のワシントンのデモビデオのテノールさんたちを見れば(聞けば)、レベル違いだって誰だってわかると思います。
by keyaki (2008-11-15 12:06) 

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