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WNO《ルクレツィア・ボルジア》レビューのまとめ+写真一覧 [ルクレツィア・ボルジア]

※RRファンが撮ったカーテンコールの写真追加(11.10)
※フィナンシャルタイムズ(一言コメントで面白くない)とコンサートネット(これは面白い!)(11.8)
※5つ目のレビュー(メトロウィークリー)追記、カーテンコールの写真追加(11.7)
※4つ目のレビュー(ボルチモアサン)が出ました。写真も2枚追加。WNOのニュースレターを甥が転送してくれました。グリゴーロが各紙で評価されているので、宣伝に利用しているようです。(2008.11.5)

★ニューヨーク・タイムズ:Anthony Tomassini 11.2
In a Man’s World, Poison Is Her Best Revenge  概訳
カリスマ性のある演技者、声には、激しく突き抜け、悲哀を喚起する響きがある、ハンサムでエネルギーにあふれ生まれつきの舞台人、歯切れの良い、男っぽい歌唱....

★ワシントン・ポスト :Anne Midgette 11.3
'Lucrezia Borgia': Uneven but Not Uneventful  概訳
声は明るく輝かしく、強く安定しており、刺激的で興奮を呼ぶ。鮮やかに響き渡る金属的な声は最高のイタリアテノール......

★ワシントン・タイムズ:T.L. Ponick 11.3
'Lucrezia' gets her due 概訳(下記)
申し分なく最高! 明瞭な声とくっきりとした響き、声の力、葛藤するジェンナーロをみごとに演じた....

★ボルチモアサン:Tim Smith 11.2 概訳(下記)
Renee Fleming, vibrant cast bow in WNO 'Lucrezia'
ジェンナーロは、きゃしゃなグリゴーロが非常に生き生きと演じた。グリゴーロの歌唱には、もう少し微妙な音色がほしいところだが、刺激的な切迫感があった。このテノールは間違いなく「スター性」がある。

★メトロウィークリー:Kate Wingfield 11.6
Lady Killer 概訳(下記)
力強い男らしさと、傷つきやすい繊細さのバランスがよくとれていた。それに加えて、微妙なニュアンスを表現できる俳優でもあった。....

★フィナンシャルタイムズ:George Loomis 11.6 
Lucrezia Borgia, Washington National Opera 概訳(下記)
洗練されているとは言えないが、終始一貫、心地よい満足なテノールで歌われた。

★コンサートネット:Micaele Sparacino 11.6
Death in Venice 概訳(下記)
ジェンナーロ役を歌っているのは、並外れた才能のあるテノール、ヴィットリオ・グリゴーロ。今現在、彼は、今日の演出家たちが求めるものの全てを兼ね備えていることは間違いない。彼には秀逸な音色と声質の、しかも、すばらしい高音が出せる、力強く情熱的に朗々と響き渡る声がある。....

写真右上:→  →  →
ジェンナーロ(グリゴーロ)は、ルクレツィアの言いつけ通りにフェラーラを去るつもりで、ヴェネツイアに出発する旅支度をしています。gri_ald_wno.jpgそこに親友のマッフィオ・オルシーニ(ケイト・オルドリッチ)がやって来て、ネグローニの館の宴会に行こうと誘います。オルシーニは、ルクレツィアに助けてもらったと言う話も信じてくれませんし、毒殺されそうになったショックもあり、ジェンナーロは気が進みませんが、オルシーニが宴会に行ってから、一緒にヴェネツィアに行けばいいじゃないかと強引に誘います。....という場面でしょ....ケイト・オルドリッチは男に見えますね。
写真左(WNOニュースレターより) ←  ←  ←
最後の場面、シャツを脱いでます...見に行った人のレポートで、『グリゴーロは、いつのまにかシャツを脱いでいた.....ハイパワーの双眼鏡で見たけど、背が高くてスリム、たくましくてセクシーで、胸毛はなかった...』と書いてる人がいました。

★ワシントン・タイムズ:'Lucrezia' gets her due(Fleming, others give roles depth)
グリゴーロはこの上なく最高だった。昨シーズン、ここのボエームで見事なロドルフォを見せてくれたが、土曜日にはその時以上のもの凄い声の力を示した。葛藤するジェンナーロ役を、明瞭な声とくっきりとした響きで歌った。それはフレミングの声と合っていた。

ジェンナーロの友だち、重要なズボン役のオルシーニで、ケイト・オルドリッチも傑出していた。その堂々とした男らしい外見は彼女に印象的な恵まれた声を増幅した。陰険なアルフォンソ公爵のという要の役のベテラン、バスのライモンディは、卓越していた。大勢の脇役歌手たちもプロとして高いレベルだった。 T.L. Ponick 2008.11.3

★ボルチモアサン:Renee Fleming, vibrant cast bow in WNO 'Lucrezia'
悪名高いボルジアの息子であることを悲劇的な状況で知ることになる若者、ジェンナーロは、きゃしゃなグリゴーロが非常に生き生きと演じた。グリゴーロの歌唱には、もう少し微妙な音色がほしいところだが、刺激的な切迫感があった。このテノールは間違いなく「スター性」がある。
ライモンディは、ルクレチアの、嫉妬深く、残酷な夫であるアルフォンソを効果的に演じた。その声はその最盛期以上に鳴り響いたが、威圧的な様式感が感じられた。オルドリッチは、そのつややかで、豊かな美しいメゾで、オルシーニのイメージをふくらませ、きめ細かい演技を見せた。ドミンゴは自信満々だった。オーケストラから安定した演奏を引き出し、スコアを感動的に表現した。

★メトロウィークリー:Lady Killer
卓越したジェンナーロ役を演じたのは有望なテノール、ヴィットリオ・グリゴーロである。声が多少大きすぎ、技術的には少々雑だったが、力強い男らしさと、傷つきやすい繊細さのバランスがよくとれていた。それに加えて、微妙なニュアンスを表現できる俳優でもあった。夢見る少年の心を内に秘めた情熱的な男を見せてくれた。
ジェンナーロの親友、マッフィオのメゾソプラノ、ズボン役のケイト・オルドリッチは、本当に若い男に見えて、魅力的だった。オルドリッチの美しく、過不足のない、豊かな声は、フレミングの強烈さと対照的ですばらしかった。このデビューが他の多くの役でワシントンオペラに出演するきっかけになることが望まれる。(=今後もワシントンオペラに、たくさんの役で出演してほしい)アルフォンソ公爵は、バスのルッジェーロ・ライモンディがベテランらしく歌った。妻に対してだろうが、敵に対してだろうが、同じように残酷なことができる残忍な男がそこにいた。ルクレチアが矛盾に満ちた世界に生きていることを非常によく示した。Kate Wingfield

★フィナンシャルタイムズ:Lucrezia Borgia, Washington National Opera
ヴィットリオ・グリゴーロの元気いっぱい、喧嘩っ早い ジェンナーロは、究極的洗練の域ではないが、終始一貫、心地よい満足なテノールで歌われた。ズボン役、ジェンナーロの友人オルシーニは、素晴らしいメゾのケイト・オルドリッチが快活に演じた。パスコーは、この友情に性的な要素を加味した。アルフォンソのベテラン、ルッジェーロ・ライモンディは、今なお立派に存在感があるが、声は時折衰えを感じさせた。George Loomis こういう見なくても書けるようなレビューは全然面白くない...

★コンサートネット:Death in Venice
ジェンナーロ役を歌っているのは、並外れた才能のあるテノール、ヴィットリオ・グリゴーロ。今現在、彼は、今日の演出家たちが求めるものの全てを兼ね備えていることは間違いない。彼には秀逸な音色と声質の、しかも、すばらしい高音が出せる、力強く情熱的に朗々と響き渡る声がある。彼はブロンドで、美形で、しかも、その見事な腹筋(=6つに割れた鍛えられた腹筋=six-pack abs =6本セット(six pack)になって売られている缶ビール、その外見が由来、=セミ腹)を観客にさらすことをためらわない。これでは充分じゃないと言うなら、まだまだある。運動神経抜群、エネルギッシュで、説得力満点の役者だ。台からとびおりて、巨大な彫像の上に、ひとっ飛びで、とび上がって、ボルジアの"B"を蹴飛ばして、傷つけ、ボルジアじゃなくて、らんちき騒ぎ"Orgia"としか読めなくしたぐらいだ。大成功への道ばく進中。ワシントンオペラの観客が立ち上がって拍手喝采だったのは、至極当然だ。フレミングとの場面はものすごくドラマチックだった。マッフィオ・オルシーニ(ケイト・オルドリッチ)との場面は、ぞくぞくするほど刺激的でロマンチックだった。プログラムによると、母国イタリアではロックスターでもある。驚きだよ。ビリー・アイドルに瓜二つ、双子の兄弟みたいに見えた。
※ビリー・アイドル Billy Idol(1955.11.30. - )は、イギリスのミュージシャン。 パンク・ロック・バンド、ジェネレーションX(キャリア末期にはGenXと改名)のリード・ ヴォーカルを務め、解散後はソロで大成功した
(略)
これだけのすばらしい歌手をもってしても、全ての観客を陶酔させるには充分でないかもしれないというわけで、そこまでやるかのワシントンオペラは、ルクレチアの夫であるフェラーラ公、ドン・アルフォンソに比類なきバス、ルッジェーロ・ライモンディを配して、飾り立てた。つまらない役ではない。2幕には、非常に音楽的なアリアと興奮を呼ぶカバレッタがある。彼は重厚なスタイルで、堂々とかっこよく、フルボイスで、歌った。黒々としたカプチーノの大きな暖かいマグカップのようだった。彼の抜群の存在感はキャスト全員の気分を盛り上げた。そして、この「ルクレチア・ボルジア」を完璧に第一級の公演にしようとするワシントンオペラの意気込みを示すものだった。Micaele Sparacino
観客の興奮が伝わってくるような面白いレビューです。飛び蹴りで"B"の文字を壊したとか....しかし筆者は、あの金髪ツンツン頭がカツラだと思ってない節もあります.....楽屋口でファンが本人に聞いたところによるとカツラではなくヘアスプレイだそうです。

★写真集(クリック拡大)







ビデオクリップ
ルクレツィアを母とも知らずに身の上話をするジェンナーロ


関連記事: 《ルクレツィア・ボルジア》関連
←ライモンディファンのところから頂いて来ました。ちょっとピンぼけですが....
若者組(オルドリッチとグリゴーロ)と
年寄り組(ドミンゴとライモンディ)
ルクレツィアはポスターと同じ格好してますね。

グリゴーロのスリーサイズ:バスト104,ウエスト85,ヒップ99
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コメント 10

babyfairy

写真をまとめて掲載して下さってありがとうございます。
演出については賛否両論ですが、話題になっているとやっぱり一度は観たくなりますよね。歌唱面ではフレミングのルクレツェアがどんなものなのか想像出来ないけれど、グリゴーロ君、ライモンディ、それにオルドリッチは褒められていますよね。
by babyfairy (2008-11-04 20:03) 

ペーターのファンです。

グリゴーロは絶賛されていますね。まあ当然のようなものですけど。フレミングはともかく、他の歌手は良い評が出ていますし、聴きたいです。
舞台写真がどれも魅力的ですねえ。新国立劇場では望むべくもないのでしょうか。写真が良ければ、足を運ぶ気にもなるでしょうに。
オルドリッチが男に見えるのは私だけじゃなかったんですね・・・。ホッとしました。
by ペーターのファンです。 (2008-11-04 22:20) 

keyaki

babyfairyさん
今までグリゴーロを観察していて感じたんですが、相手役のベストの歌唱を引き出す能力があると思います....グリゴーロって、とても表現豊で、その役に没頭して歌うので、相手役も、ついつい引き込まれて歌ってしまう....みたいなかんじ。エヴァ・メイのヴィオレッタもグリゴーロ君とのが、一番印象的で素晴しかったですもの。
ということで、フレミングとの二重唱が素晴しかったと書いているレビューがありましたが、これは、グリゴーロ君に引きずられて、歌った結果じゃないでしょうか.....なんちゃって。

フレミングのルクレツィアは、オペラシェアで手に入りますよ。でも、ジェンナーロがグリゴーロ君じゃなきゃ、聞く気がしません....
by keyaki (2008-11-05 02:35) 

keyaki

ペーターのファンさん
そう、絶賛ですよ。注目しはじめて、ドン・カルロ、ルチアの公演がありましたが、いずれも絶賛なんです。
新国の舞台写真って、躍動感ゼロですけど、ハイ、ポーズで撮ってるってことはないですよね。

>オルドリッチが男に見える
評論家さんも、「堂々とした男らしい外見」なんて書いてますが、ズボン役はやっぱりこうでなくちゃでよね。
by keyaki (2008-11-05 02:47) 

euridice

>相手役のベストの歌唱を引き出す能力
これがあってこそ、一段突き抜けたカリスマ性、スター性があるってことだと思います。で、フレミングもいいかも・・・ホント!映像で視聴したいものです。
by euridice (2008-11-05 07:17) 

keyaki

euridiceさん
これって、特に女声歌手の場合は、役柄にあったそれなりのテノール君だと、絶対はりきって歌いますよね。お互いさまでしょうけど....グリゴーロは、二重唱なんか、相手をじーっと見つめて歌ってますし....相乗効果ってことですね。あの若さでチームをひっぱって行く素質があると思います。
ライモンディにしても、女声歌手から、とても信頼されていて、彼がくればすべてうまく行く....と言っている共演者もいましたもの。
by keyaki (2008-11-05 09:31) 

babyfairy

パフォーマンス後にサイン会、大変ですね。やっぱりラドヴァンスキーじゃお客さんが呼べないからですか?ただ、CDにサインをします、と言えば本人のCDの宣伝にもなるから、全くのボランティアじゃないでしょうけど・・・。

>今までグリゴーロを観察していて感じたんですが、相手役のベストの歌唱を引き出す能力があると思います

なるほど〜それも一つの才能でしょうね。そう言えば、フローレス王子もロンドンのマティルデ・ディ・シャブランで、タイトルロールだったクルツァックとの方が積極的にアプローチしているように見えました。ペーザロの方のマッシスの時はちょっと遠慮がちだったような気がします。



by babyfairy (2008-11-07 01:45) 

keyaki

babyfairyさん
>ペーザロの方のマッシスの時はちょっと遠慮がち
お互いに遠慮がちってことだっのかもしれませんね。マシスは、新国のジルダでも、そんな感じを受けました。

サイン会は、ボエームの時もやってましたね。ポップのファンも大事にしなくちゃ....ですものね。
by keyaki (2008-11-07 08:57) 

babyfairy

コンピュータの操作のせいか、自分のブログにログイン出来なくなって、仕方なく新たに作り直しました。下記です。ブログの名前も"Vittorio Watch!"に変えました。

http://babyfairy.blog.so-net.ne.jp/

ルクレツィア・ボルジアも早く音声が聴きたいです。レビューは軒並み好意的(例の人以外は)だけれど、やっぱり実際に聴いてみない事には。
by babyfairy (2008-11-09 06:45) 

keyaki

babyfairyさん
さっそく"Vittorio Watch!"訪問させていただきました。
さきほど、ライモンディファンの掲示板に簡単な第一報が入りましたが、「舞台も衣裳も気に入りましたが、最も素晴しかったのはテノールの声です.....」と書いてます。
アメリカのオペラフォーラムを覗いてみると、この公演を見た人たちは、かなりの興奮状態のようです。「ベルカント純粋主義者もこの舞台を楽しんだはずだ....」と書いている人もいました。一般の観客に受けなければ、批評が良くても意味がないですものね。
グリゴーロの最初のアリア"Di pescatore ignobile..."も、ルクレツィアとの二重唱も、オルシーニとの二重唱も最高!だそうですから、早く録音をアップして欲しいですね。
by keyaki (2008-11-09 09:53) 

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