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フランコ・コレッリからはヴィブラートを:ヴィットリオ・グリゴーロの面白語録★MP3 [インタビュー&記事]

最初のアルバムをリリースする直前のインタビューで、こんなことを言っています。
「僕は、このアルバムに僕のオペラヒーローの特性(quality)を持ってこようとしました。フランコ・コレッリからはヴィブラートを、マリオ・デル・モナコからは力強さを、ドミンゴからは情熱を、ジーリからは繊細さを......そして、パヴァロッティからは彼の声にある余裕を」


ジーリ:
メフィストフェレ

マリオ・デル・モナコ:
アンドレア・シェニエ

コレッリ:
星は光ぬ

グリゴーロ:
星は光ぬ

 よく著名なテノール歌手に感銘を受けた歌手とか尊敬する歌手は、と質問すると、「マリオ・ランツァ」という答えをよく見かけます。ランツァは、本格的なオペラ歌手として活躍したかもしれない前に、38才で早世してしまった伝説的テノールということも、こういう質問に対する答えとして、当たり障りが一番ないということになっているのかとも思われますがどうなんでしょう。
 グリゴーロの憧れのオペラ・ヒーローは、はっきり理由もあげて説明しているところがユニーク。物心ついてから、オペラ愛好家の父の影響でどっぷりオペラにつかっていただけのことはあります。
 ちょっと意地悪くみれば、ドミンゴについては、社交辞令で、あえて加えたのかとも思えなくもないですが、「ドミンゴからは情熱を」と言っているところが、なるほど、そうきましたか...というかんじで、ずいぶん賢いなと思いました。
 パヴァロッティのことは、「それで、パヴァロッティからは?」と聞かれて、答えてます。13才の時にメディアが、パヴァロッティーノというニックネームを付けたので、インタビューでは、必ずパヴァロッティのことが引き合いに出されます。パヴァロッティは彼にとって、もちろんオペラ・ヒーローに間違いないのですが、あんまり身近だったので、失念していたのかもしれません。パヴァロッティのところは、どう表現したらいいのか迷ったのですが、声そのものの魅力....という意味合いがあるのではないかと思います。
 この5人の中でも、彼の究極のヒーローは、フランコ・コレッリ(1921.04.08- 2003.10.29)、マリオ・デル・モナコ(1915.07.27-1982.10.16)、ベニャミーノ・ジーリ(1890.03.20-1957.11.30)だと思います。ここで、意外だったのが「フランコ・コレッリからはヴィブラートを」です。ヴィブラートを目の敵にしているオペラ通もいるようですが、グリゴーロにとっては、ヴィブラートは、必要なものなんですね。
CLASSIC FM: JOHN EVANS(2006.3.1)から
※quality:他のものとそのものを区別する性質・特徴という意味ではcharacteristicがもっとも一般的. qualityはそのものの重要な性質で, どちらかというとよい性質.
★ヴィットリオ・グリゴーロのオペラ・ヒーロの音声ファイル:
♪ベニャミーノ・ジーリ(1890.03.20-1957.11.30)
 ボイト作曲《メフィストフェレ》"Giunto sul passo estremo"(1921)

♪マリオ・デル・モナコ(1915.07.27-1982.10.16)
 ジョルダーノ作曲《アンドレア・シェニエ》"Improvviso"(1949)

♪フランコ・コレッリ(1921.04.08- 2003.10.29)
 プッチーニ作曲《トスカ》"E Lucevan Le Stelle"
♪ヴィットリオ・グリゴーロ(1977.2.19-):《トスカ》"E Lucevan Le Stelle"


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コメント 3

rosina

>コレッリからはヴィブラートを

健康なヴィブラートはむしろ必要なものだとは思いますが、この答えはおっしゃる通り、意外、です。 でも、子供時代からオペラに慣れ親しんで来たグリゴーロ君ならではの視点があるのでしょう。

>コレッリ、 デル・モナコ、 ジーリ

へえ、こうして彼の究極のヒーローである歌手達を並べてみると、これから結構ドラマティックな役も歌ってくれるようになるかも・・・と期待を抱いてしまいます^^。


by rosina (2008-09-06 04:38) 

euridice

>ヴィブラート
オペラを聴くようになってからけっこう耳にする言葉です。
この歌手は嫌いという代わりに「ビブラートがある」「ビブラートが強い、あるいは、きつい」と表現する人もいるようです。

それに「ビブラート」は人によって感じ方が極端に異なるようです。

某女性評論家はこんなふうに言ってます。
『一例をあげると、私はビブラートに対して、相当寛容である。ビブラートは、ビブラートのない感情を含まない声を好む聴き手を憤慨させるが、私にとっては、たいていの場合、私のなかの個人的な反応を激しくかきたてる感情の高まりそのものである。私は、エネルギー溢れる、ゆたかな陰影を持った声が好きだし、暗めのヘルデンテノールの響きを好む傾向がある。情熱や性的な感覚を呼び覚ますような色合いを持った声に影響されない振りをしたいとは思わない。オペラは、まずは音楽か、それとも 音楽劇かという問題に対しては、きわめてはっきりとした意見を持っている。この観点から言えば、私は当然偉大な歌役者たちに肩入れする。』
by euridice (2008-09-06 08:24) 

keyaki

rosinaさん、euridiceさん
グリゴーロ君って、お父さんが40才の時の子供でしかも一人っ子ですよね。だから、年齢の割に、昔の歌手の録音をいっぱい聞いて育ってるんでしょうね。
ヴィブラートにもいろいろあるんでしょうけど、コレッリはデビュー当初はヴィブラート過多?だったので矯正したとからしいんですけど.....

euridiceさん紹介の女性評論家さんと私も同じです。感情の高まり=ヴィブラートだと思います。だから、これをうまく使いこなせる歌手は、感情表現のできる歌手ということで、グリゴーロ君は、コレッリは感情表現が豊かだ、と言ってるんでしょうね。
私もビブラートに対して、相当寛容です。特にテノールとか女声歌手のは。
by keyaki (2008-09-06 20:56) 

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